物価指数で都市と地方を比べてみれば
地域別の物価の差を知るためには、総務省の「消費者物価地域差指数」が参考になる。これは、各地域の物価水準を、全国平均を基準(=100)として指数化し、地方10区分や都道府県、都道府県庁所在市及び政令指定都市ごとに作成したものある。
表2には、21年時点の全国の都道府県別の指数(総合)を物価の高い地域順に示したものである。参考のために、それぞれの県が表1の最低賃金の地域分類でA、B、C、Dのどのランクに分類されていたかを付け加えた。
表2を見るとやはり東京都は最も物価の高い地域であり、2位の神奈川県とともに最低賃金ではAランクに分類されていた地域である。すなわち、「賃金も高いが物価も高い」ということがすぐにわかる。
また物価の低い鹿児島県、宮崎県などは最低賃金ではDランクに分類されており、「賃金も安く、その分物価も安い」という傾向があることもわかる。ちなみに宮崎県は4年連続で物価指数の最小値を記録している。
個々の都道府県をみてみると、必ずしも物価の高い地域が最低賃金の高い地域にランキングされているとは限らないケースも見られる。例えば物価指数第5位の山形県は最低賃金ではDにランクされており、「物価の高さと賃金の高さ」がバランスしているとはいいがたい。逆に、物価指数で35位の愛知県は最低賃金ではAランクに分類されており、「物価がそこそこ安くて賃金は高い」というお買い得な地域のようにも思われる。
最低賃金の審議の上では、各地域の物価水準がある程度考慮されているが、必ずしも物価と賃金が完全にバランスしているわけではない。実際、宮崎県と東京都の物価指数の差は104.5÷96.2=1.09倍であるが、表1の最低賃金では、宮崎県と東京都の差は1041÷821=1.26倍であり、東京は「物価の高さよりも賃金の高さの方が勝っている」と言うこともできる。
そこで、賃金と消費支出を組み合わせた「暮らし得指数」を考えることとした。