「Wedge」2022年9月号に掲載されている特集「漂流する行政デジタル化 こうすれば変えられる」記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
デジタル先進国デンマークは20年かけてデジタル化を進めてきた。北欧の小国から日本のデジタル改革のヒントを探る。
話し手・安岡美佳
聞き手/構成・編集部 鈴木賢太郎
話し手・安岡美佳
聞き手/構成・編集部 鈴木賢太郎
高福祉国家、北欧の小国、きれいな街並み──。多くの日本人がデンマークに抱く印象はこのようなものではないだろうか。しかし、それだけではない。デンマークは国連がとりまとめる最新の電子政府指数で堂々の1位になるなど、世界でも高く評価されるデジタル先進国でもあるのだ(下図)。
デンマークは世界屈指のデジタル先進国である
現在デンマークでは、あらゆる行政手続きが電子化されており、市役所の窓口に行列ができることも、各種の申請手続きを紙で行うこともない。デジタル化の経緯を見ると、二つの特徴が見てとれる。一つは時間をかけて長期の目標を立てぶれずに実施したこと。もう一つは「強制力」を行使しデジタル改革を進めてきたことである。
デンマークでは、住民の取得意思の有無にかかわらず、日本のマイナンバーにあたる個人番号(CPR)が強制的に付与されている。CPRは地方政府で導入された1924年から納税・医療・教育などあらゆる場面で利用されるようになり、今では銀行口座の開設や医療サービスの受領など、生活のあらゆる場面で不可欠なインフラとして根付いている。