2022年10月6日(木)

Wedge REPORT

2022年8月24日

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 予算獲得や組織の動かし方――。自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)は企業が行うそれとは似て異なる。2017年、史上最年少の26歳で茨城県つくば市の副市長に就任した毛塚幹人氏は、全国で初めてロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を自治体業務に導入した。現在は複数の地方自治体でDXなどのアドバイザーを務める毛塚氏に、行政のデジタル化を推進するうえで意識すべきことについて聞いた。
OLIVIER LE MOAL/GETTYIMAGES

編集部(以下、――) デジタル庁の発足をはじめ、行政のデジタル化の機運が高まっている。国が掲げるデジタル化のビジョンを具現化するために、地方自治体に求められる役割は何か。

毛塚幹人 Kezuka Mikito
前つくば市副市長
1991年生まれ。栃木県宇都宮市出身。東京大学法学部卒。2013年に財務省入省後、国際局、主税局などを経て17年に財務省を退職し、歴代最年少の26歳で茨城県つくば市の副市長に就任。最高情報責任者(CIO)として行政のデジタル化やテクノロジーの社会実装を推進。21年に独立し現在は栃木県那須塩原市やさくら市など地方自治体の政策立案や経営支援に携わる。

毛塚 国と地方自治体は上下関係ではなく、役割分担の関係にあると考えている。従来の社会の「前提」が崩れ行く中、地方自治体や企業などで試行錯誤の上で生み出された具体的な事例なしに国が政策や制度を作ることは困難になっている。

 地域で新たな取り組みが開拓されることにより、それを基に国はさらに踏み込んだ政策や制度を作ることができる。一方、地方自治体は、独自に地域の将来像を描き、デジタルなどの手段を使いその実現に向け自ら取り組むことが重要であり、まさに「自治体」としての役割が求められていると思う。

 行政や地域のデジタル化を推進していくうえでは民間企業との連携が不可欠だが、行政は公平性や手続きを重視するので、協業に至るまでのハードルが高い。それゆえ、「実証実験」の形を取り、改善を重ねながら新しいチャレンジを進めていける土壌や、一歩踏み出しやすいような環境を整備する自治体が増えている。前例がないようなチャレンジを苦手とする行政にとって、まずは小さな事例でも構わないので、成功体験や実績を積み重ねて説得力を高めていくことが何よりも重要だと考えている。

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