制裁に対するロシア側の報復が本格的に始まった。
北方領土のビザなし渡航合意を一方的に破棄、この地域で大規模軍事演習も行われている。ロシア系ハッカー集団は日本政府のサイトに攻撃を仕掛けた。
今後も機会を見て同様の手段を弄してくるだろうが、当初から予想されていたことであり、日本としてはたじろぐべきではない。
対露関係が冷却化するのだから、ここはむしろ、領土問題を中心とする対露政策を大胆に見直す機会にすべきだ。さしあたっては、ここ数年、領土交渉の大きな障害になっていたシンガポール合意と思い切って決別し、「4島返還」という長年貫いてきた基本方針に回帰するチャンスだろう。
約束破るのはロシアのお家芸
元島民らによる墓参などの手続きを簡素化した「ビザなし渡航」は、ロシア政府による5日の政令で、「効力が停止」された。ビザなしの墓参は1991年の日ソ外相による往復書簡、99年の日露間「口上書」によって合意されたが、ロシアは今回一方的に破棄した。
岸田文雄首相は6日、「極めて不当で断じて受け入れられない」と強い不快感を示し、林芳正外相は外交ルートを通じてロシア側に抗議したことを明らかにした。
日ソ中立条約無視の過去に触れるまでもなく、約束を破るのはロシアのお家芸だ。
大規模軍事演習「ボストーク2022」は、国後、択捉両島を含む極東地域で9月1~7日の予定で行われている。プーチン大統領は6日、ウラジオストクで、日本への当てつけのように演習を観閲した。