2022年9月26日(月)

天才たちの雑談

2022年9月16日

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壁に付箋を貼って「ブレスト」をしたところで、目新しい「アイデア」は出ない。
肩の力を抜いた「雑談」から、イノベーションの種は生まれ出る。
日本の科学や技術を牽引する「天才」たちが、今回は「6Gの世界」について、縦横無尽に語り尽す。

聞き手/構成・編集部(大城慶吾、木寅雄斗) 
撮影・さとうわたる

雑談の動画は東大TVのYouTubeチャンネルからご覧いただけます。
(パート1はこちら
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瀧口 「10年後、『6G』が社会の主要インフラになる」。高速通信規格の第5世代「5G」というのは皆さん聞き慣れてきたと思いますが、10年後にこれが6Gになり、しかも主要インフラになるということなんですが、6Gになると、何が変わるのでしょうか。

瀧口里奈 Yurina Takiguchi
経済キャスター、
東京大学工学部 アドバイザリーボード・メンバー
東京大学文学部卒業。現在、東京大学公共政策大学院に在学中。2022年より新生銀行社外取締役に就任。これまでに『日経CNBC』キャスターなどを務める。

黒田 社会インフラって、私たちが学校で習ったときには、道路・鉄道・港湾・空港だと教えられましたね。あれは20世紀が工業化社会だったということです。資源を材料にして部品を作って、その部品を組み立てて製品を作る。日本が戦後、工業立国、電子立国として発展する際に必要だったのが、材料の資源を運ぶ道路・鉄道・港湾・空港でした。

黒田忠広 Tadahiro Kuroda
東京大学大学院工学系研究科 教授
東京大学工学部電気工学科卒業。工学博士。東芝入社。慶應義塾大学教授、米カリフォルニア大学バークレイ校MacKay Professorなどを経て、2019年より現職。

 将来、この「材料」が、資源から情報になるということです。IoTの社会で、データを集めてAIで高度に処理をすると、新しいサービスやそれぞれに合ったサービスが一人ひとりに対して提供できる。

 そうすると、未来に必要になるのは、日本中どこまで行っても舗装されている道路ではなく、どこに行っても使える5G、6G、7Gといった最先端の通信ネットワークということになります。だから、この「6G」が社会インフラになる。その背景には、日本だけではなく世界が、工業化社会から次の社会を目指して変わろうとしていることがあります。

瀧口 実現にはどのような課題があるのでしょうか。

黒田 一言で言うと「グリーンでなければならない」ということです。

加藤 省エネですね。

加藤真平 Shinpei Kato
東京大学大学院情報理工学系研究科 准教授
慶應義塾大学大学院理工学研究科後期博士課程修了。博士(工学)。米カーネギーメロン大学などで研究員を務め、2016年より現職。ティアフォー創業者兼最高技術責任者(CTO)。

黒田 その通りです。5Gをインフラにするのに必要なのは、「5㍗・5㍑・5㌔グラム」とよく言われているんです。4G、5G、6Gと数字が上がっていくと、電波が光のような伝搬の仕方になり、一直線にしか飛ばず、届く範囲が狭くなっていく。そうすると、見渡せる範囲に必ず小さな基地局がなければいけない。小さな基地局を大都市にいっぱい置こうと思うと、「5㍗・5㍑・5㌔グラム」でなければいけない。これが制約です。

 5㍑・5㌔グラムというのは、小さな基地局でなければ土地代が高いし設置が大変だということです。そして「5㍗」とは何かというと、皆さんもZoomなどでパソコンの動作が重くなると「ズーン」って音がした経験がありませんか。あれは消費電力が増えると熱が出るものですから、それを冷やすためにファンが回るんですよ。それが5㍗を超えると回り出す。

 ファンが回るものが都会のいろいろなところの屋外に設置されていると、当然ほこりなどを吸い込んで回らなくなり、熱が上がりっぱなしになって壊れる。そうするとメンテナンスも大変です。

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