外食店にもコメの良さを伝道
はじめに紹介した古谷商店の古谷代表が取得している5つ星マイスターとは、日本米穀商連合会(日米連)が始めた資格制度で、今年がちょうどスタートから20年目を迎える。5つ星マイスターの資格を持つ人は現在476人いる。
この資格は、原則として日米連に加盟している米穀小売店でなければ取得できない。ところがメディアへの露出によってお米マイスターの認知度が高まったことから、コメのユーザーである外食店や中食業者等から「お米マイスターを取得したい」という要望が日米連に多数寄せられるようになっている。
そこで日米連では、お米マイスターを講師に育て、外食店のなどのユーザーを生徒にして授業を行い、修了者には「ごはんマイスター★」の講座終了証を発行するという取り組みをスタートした。まずはお米マイスターの講師を要請するために年末に養成講座を開催して、受講者には「業界のために講師を志願してくれた専門家」を意味するプロフェッサーの称号を与え、全国各地で講座を開催することにしている。
いわばお米のユーザーのための学習会という趣旨だが、この構想はお米マイスター制度が発足した20年前からあった。それがようやく日の目を見ることになったのだが、出前授業に限らず、こうした地道な取り組みがお米ファンを増やし、米穀小売店の存続の基盤を作り、日本のコメを守ることになるという思いで事業を進めることにしている。
米穀小売店が生き残る道とすれば、まずはスーパーやネット販売にはない目利き力や他にはないコメを仕入れられることにあろう。そして何よりも「お米ファン」を増やすことが急務で、このことはコメ業界全体にも言える。それにプラスしてコメには多くの知られていない価値があり、それらを対面で消費者に伝えられる米穀小売店の役割は今後益々重要になると思われる。