2024年11月22日(金)

世界の記述

2022年12月5日

結局は「うまい、やすい、はやい」か

 もっとも台湾人の日本観光好きには、現実的な理由もありそうだ。台北市在住の60代の女性商店主によると、台湾人が海外旅行で重視するのはなにより「食とショッピング」で、日本観光では、どちらも大いに満足できるそうだ。ショッピングで、日本旅行をする台湾人は、化粧品や衣服のほか、周囲の人々に頼まれて、炊飯器などの家電製品、市販薬(アリナミン製薬のアリナミンなどが人気)を買い求めるという。

 また、女性商店主によると、コロナ前、円安は最近ほど進んでいなかったが、既に日本観光は物価の安さが大きな魅力で、ショッピングを存分に楽しめた。特に高級ホテルの宿泊料が台湾に比べて格段に低いのだという。

 台湾メディアの今日新聞によると、コロナ前にもPTTでスレッド「台湾人はどうしてこんなに日本に行きたがるのか」が立ち上がり、直ちに多数の書き込みがあった。そのスレッドでは「金がなく、休暇が少ないから」、「(日本を選ぶのは)特に理由はない。貧しいから」などのかなり現実的な記述が相次いだ。

 他にも「旅費よりきついのは休みが少ないこと。スイスに行くなら、飛行機で2日浪費する」、「欧州に行くなら10日かかる。10日を超えたらおそらく職場に戻れない」など、距離の近さを日本観光の魅力として挙る記述もあった。日本人の台湾旅行でも、同じことがいえるだろう。

 このほか「コストパフォーマンスが最高」、「日本はまったくチップがいらないのが最大の魅力」と書くネット民もいた。結局のところ、牛丼の吉野家のキャッチコピーのように、「うまい、やすい、はやい」が、日本を選ぶ本音なのかも知れない。

 もっともPTTを使う若年層は経済性が最優先だが、余裕のある中高年層にも日本観光のリピーターが多い。台北市に住む60代の会社社長は、コロナ前、妻を伴って年に何回も日本旅行を楽しんでいた。

 経済的に余裕があるので、さまざまな国を訪れているが、毎年のように出かけていたのは日本だけ。京都や大阪が好きだという。

 「台湾は生活が万事、せわしない。日本はゆったりしているのでくつろげる」と話す。意外なことに、日本は台湾よりのんびりしているのだそうだ。

 要するに台湾人にとって、日本観光は国内旅行のように気軽な旅なのであり、それぞれの懐事情やスケジュールに合わせて、楽しんでいるということだろう。早くコロナ前のように、さらに多くの台湾人に日本の旅を楽しんでもらいたい。

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