2022年12月9日(金)

唐鎌大輔の経済情勢を読む視点

2022年10月7日

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唐鎌大輔 (からかま・だいすけ)

みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト

2004年慶應義塾大学卒業後、日本貿易振興機構(JETRO)入構。日本経済研究センター、欧州委員会経済金融総局を経て、08年10月からみずほコーポレート銀行(現・みずほ銀行)。著書に『ECB 欧州中央銀行:組織、戦略から銀行監督まで』(2017年、東洋経済新報社)など。(記事はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)

 10月11日から始まる水際対策の緩和を受けて、いよいよ外国人の個人旅行やビザなしの来日が再開する。現段階でも規制が残っていること自体、常軌を逸しているのだが、その動き自体は評価されるものである。

(つのだよしお/アフロ)

 鎖国政策と揶揄されていた岸田文雄政権の水際対策は①(現地を出国する前)72 時間以内の陰性証明書、②観光ビザの要求、③添乗員付きツアー客限定の3つが大きな障害とされていた。このうち①に関しては9月7日から、ワクチン3回接種済みを条件に不要とされている。しかし、②や③が残っていたことについて強い批判があった。11日からは②および③も撤廃され、表面上は日本へ観光するにあたっての規制は全て撤廃されることになる。

 「表面上は」というのは、①~③のような大きな障害が取り除かれるとはいえ、入国後もマスク着用に代表される執拗な感染対策を強いるだろうことも含めれば、果たしてどれほどのインバウンド需要が復元されるのか予断は許さないという懸念があるためだ。円が極めて割安な通貨になっていることは確かに追い風である。しかし、例えば同じアジアの観光地であるタイでは屋内も含めたマスク着用義務が撤廃されている。また、ここにきてユーロも大幅に値を下げており、当地も日本ほど感染対策に固執する雰囲気はない。

 図表①に示されるように、世界的には2021年5月以降、徐々に観光需要が復活しており、22年に入ってからは完全にパンデミック後を見据えた動きが定着している。その裏側で日本が如何に孤立してきたのかは図を見れば多くの説明を要しない。

図表① 写真を拡大

 人為的に外国人を門前払いし続けたことで生まれた世界との「溝」である。日本が鎖国政策を続けている間にインバウンドの代替需要を引き受ける国・地域は現れている可能性もあり、「規制を外したから元(2019年以前)に戻る」というほど単純な話ではない可能性もある。

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