豪州の元外相ジュリー・ビショップ(自由党)の安保担当補佐官を務めたジョン・リーが、5月に発足した労働党政権においても中国の脅威に厳しく対処する豪州の方針に変更はないこと、および豪州と日本がアジアにおける米国の存在を繋ぎとめる錨の役割を果たしていることを指摘する一文を12月5日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙に寄稿している。
豪州は中国共産党による経済的懲罰の4年目を迎える。5月に労働党政権が発足し、評論家達は中国に対してソフトな対応を取るかも知れないと憶測した。しかし、反対のことが起きつつある。労働党政権は自由党の外交政策を支持するのみならず、中国の脅威に対抗するために米国と協力する計画を急速に進めることを約束している。
この新たなコンセンサスは12月6日の米国との外相・国防相会議(Ausmin)で示される。議論は 2021年に発足した米英豪の安全保障枠組み「AUKUS」の基礎の上に、さらなる進展を追及するものとなろう。Ausminの議題には中国人民解放軍を抑止し、要すれば対決するために必要な軍事アセットを豪州が取得するための取り決めがある。これには長距離超音速ミサイル、攻撃型ドローン、攻撃的サイバー能力の他、原子力潜水艦も含まれる。両国はレアアース(希土類)のような戦略物資の信頼に足るサプライチェーンの確保にも挑むであろう。
豪州政治のコンセンサスは、中国の最近の紛れもない侵略性によるものである。中国は、台湾海峡、東シナ海、南シナ海における威嚇的な軍事行動によって自らが深刻な脅威であることを露呈した。中国は一帯一路のような計画を通じて自国中心の経済的秩序を創設する欲求を誇り、膝を屈することを拒否する諸国をどう扱うかを垣間見させた。
豪州は、中国を積極的に抑制し抑止しなければ自身が問題の一部になることを認識した。米国は遠く離れており、中国に対する効果的な地域的バランスとしての存在を維持するには同盟国を必要としている。近年、日本と豪州が西太平洋における米国が率いる力の北方および南方の錨となるに至っている。
Ausminの協議の後、豪州の外相と国防相は東京に赴き日本の外相、防衛相と会談する。中国は、米国の同盟は壊れつつある、中国の成功は不可避であり抵抗は無駄だというメッセージを発している。しかし、今週の協議は、米国とその同盟国にはアジアの将来を決定する真の力があることを示す。一方、台頭する中国は、真の友人と信頼に足る同盟国を欠いた孤独な存在だということである。
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この論説はこの地域における中国の拡張主義的野心を抑止し厳しく対処していくべきことについて、労働党と自由党を通じてコンセンサスが形成されていることを指摘している。このことは日本にとっても歓迎すべきことに違いない。