2024年4月17日(水)

古希バックパッカー海外放浪記

2022年12月25日

ロシアはスターリン時代から何も進歩していない

 12月4日。サヌールへ移動するためY君と別れの挨拶をした。ハバロフスク出身の朴訥なエンジニアであるY君はロシアの現実を悲観していた。ロシア・ウクライナ双方からのニュースを毎日フォローしているY君は、ロシアの悪名高い民間軍事会社ワグネルが囚人部隊を編成して前線に投入していると語った。ワグネルは囚人に対して戦時ボーナス支給と服役免除を約束して戦闘に参加させている。

 実際の前線での戦闘では、ウクライナ軍に突撃を命じられた囚人兵はバタバタと倒れるが撤退できない。囚人部隊の背後にはワグネルとロシア軍の督戦隊が機銃を構えて控えており、後退すれば背後から銃撃されるからだ。

 第二次世界大戦でジューコフ将軍率いる赤軍が、ナチスドイツ軍に対して用いた特攻作戦と全く変わらないとY君は憤った。独裁者スターリンにとって農村から徴収した貧しい若者が何人死のうとも問題ではなく、自分の地位と権威を保つために共産党の政治将校が率いる督戦隊による恐怖の恫喝で赤軍兵士を戦わせたという。

 戦後権力の座についてスターリン批判を展開したフルシチョフは、そうした督戦隊の政治将校だったとのこと。

 現代のウクライナ侵攻でもプーチンの地位保全のため、囚人兵や無理矢理徴兵された若者が督戦隊の銃撃に怯えながら前線に立たされている。ロシアは80年経っても何も変わっていないとY君は肩を落とした。

以上 後半に続く

   
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