2024年4月20日(土)

経済の常識 VS 政策の非常識

2022年12月28日

むやみな補正予算の積み増しにストップを

 もちろん、皆が4兆円ぐらいなら大丈夫、将来の国民のためになると言い出して国債を発行していたらキリがないという議論は分かる。

 医療費も健康になれば将来の国民の利益になる。教育は将来の国民を豊かにする。国防費は将来の国民を守るためのものだから国債で賄うべきだと言い出せばキリがない。

 筆者はいずれの主張も一般論で言えば正しいと思うが、キリがないからから増税したいという財政当局の言い分も分かる。しかし、その前に、訳も分からず補正で積み増すことは止めてほしい。

 そのためには、税か国債かの議論ではなくて、集めたお金を何に使うのかの議論がまず必要だ。所得税に付加して増税した東日本大震災の復興予算は、まったく効果的に使えていない。増税で調達しても、賢く使うための助けにはならないのだ。それは筆者の『震災復興 欺瞞の構図』(新潮新書、2012年)や「東日本大震災復興に高台造成はやはり必要なかった」、『Wedge』2021年3月号の特集「東日本大震災から10年 「想定外」の災害にも〝揺るがぬ〟国をつくるには」などが指摘した通りである。

 
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 安全保障といえば、真っ先に「軍事」を思い浮かべる人が多いであろう。だが本来は「国を守る」という考え方で、想定し得るさまざまな脅威にいかに対峙するかを指す。日本人の歪んだ「安全保障観」を、今、見つめ直すべきだ。
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