2024年12月14日(土)

田部康喜のTV読本

2022年12月31日

 女王はメッセージを放った。

 「多くの事件に触れ、深く悲しんでいます。暴力とそれに続く悲しみに心を痛めない人はいないはずです。私自身、そして次の世代のために未来に目を向けましょう。私たちはできるはずです」

 マンデラはもともとIRAの元幹部たちと交流があった。その縁から英国とIRAの和平調停を結ぶ仲介役となった。

アイルランドへのメッセージ

 2011年、女王は英国元首として100年ぶりにアイルランドを訪問する。晩餐会には夫君のおじを殺害した主犯のひとりも招待した。そして、静かに握手もした。

 女王の挨拶は、アイルランド語で始まった。「大統領、そして親愛なるみなさん」と。そして英語となった。

 「今回の訪問で大事なことを再認識しました。過去に頭を下げつつも、過去に縛られないこと。私たちの関係は複雑でした。何世紀もわたり厳しい道のりを歩んできました。私たちの歴史は悲しみと後悔に満ちています。お互い心を痛め、多くの犠牲者を出してきました。歴史に、もし、が許されるなら、もっと別の歴史を歩むことはできなかったのかと思ってしまいます。この争いで傷ついたすべてのひとに心から哀悼の意を表します」

 珠玉のドキュメンタリーは、女王による2014年のメッセージで締めくくる。

 「どうしたら人々が違いを乗り越えよき社会をつくっていけるのか、世界はその答えを探しています。この街(北アイルランドの首都・ベルファスト)が生きた手本であり続けること願っています。これから先も多くの困難があるはずです。平和的な解決は必ずしも簡単ではありません。でも不可能を可能にしてきたことも事実です。

 もしあなたが将来、困難に直面し、あきらめそうになったら、いつも思い出してください。私も含めて何百万の人々の思いと祈りがあなたと共にあるということを」

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