2024年4月18日(木)

21世紀の安全保障論

2023年1月23日

 この件で特に問題視されているのは、ホワイトハウス側が、メディアが報じるまで、ペン・バイデン・センターやバイデン大統領の私邸で発見された書類の中に機密文書が含まれていることを認めようとしなかったことである。昨年、トランプ前大統領のフロリダ州の私邸マール・ア・ラゴに司法省が電撃的に立ち入り調査を実施して以来、「トランプ前大統領が機密文書の取り扱いについてあまりにも不注意であった」というイメージが国内で浸透しつつあった中、バイデン大統領側にも極めて似たような事案が発生したことで、一般の有権者の目線から見れば「どっちもどっち」というイメージが生まれてしまった。

視線注がれる「若手」の出馬

 事件の展開次第では、24年大統領選にも大きな影響が出る。バイデン大統領が再出馬を決定した場合に共和党側候補がバイデン大統領のこの問題にフォーカスし、「バイデンは偽善者」「現職大統領は結局、何をやってもOK」といった批判を展開することがほぼ確実であると見られているからだ。

 このため、今回の事件の展開によっては、バイデン大統領には1期で「勇退」を求める声が民主党から出てくる可能性が高いことが既に一部の政治評論家の間では指摘され始めた。共和党側で出馬がささやかれているデサンティス・フロリダ州知事や、ヤンキン・バージニア州知事、ホーガン・メリーランド州知事らがバイデン大統領よりはるかに若いことを鑑みると、民主党側も若返りを図って大統領選挙を戦うべきだ、という声が出てくるのはいわば自然な流れだ。

 トランプ前政権時代に、一般教書演説の際に民主党側の反論で登場したこともあるグレッチェン・ウィットマー・ミシガン州知事や、ギャビン・ニューサム・カリフォルニア州知事らの名前も浮上しつつある。これに加えて、1月18日に黒人として初のメリーランド州知事に就任したウェス・ムーア氏が今後、「黒人」「実業家」「超党派支持を得やすいキャラクター」「全米で最大規模の貧困問題を扱う非営利団体を経営した実績」「軍歴あり」という資質に加え、08年にオバマ大統領が出馬した時を彷彿させる若さや、演説の巧みさから、急浮上してくる可能性が注目され始めている。

 しかも、このような大荒れの内政に追い打ちをかけるように、1月18日には米国が債務上限に到達してしまい、国家財政破綻まであと6カ月という待ったなしの状態になり、既にホワイトハウスと議会、特に共和党が多数党の下院は、全面対決姿勢に入った。万が一、米国が財政破綻を起こせば、その影響は米国内だけにとどまらない。世界経済の危機に直結しかねない重大な事態だ。

 日本では日米外務・防衛閣僚会合(2+2)や岸田総理の訪米に焦点が当たりがちだが、24年を控え、米国では、内政の方が今後、俄然、面白さを増してくるだろう。

   
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