2023年2月5日(日)

バイデンのアメリカ

2023年1月19日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 年明け早々の米下院で共和党が、議長選出をめぐる党内不一致のため何度も投票を繰り返す百年ぶりともいわれる醜態を演じたことなどから、挙党体制づくりを疑問視する声も出始めている。一方、バイデン政権にも予期せぬ不安材料が……。

共和党の党内不一致により、下院議長の席は5日間空席となった(AP/アフロ)

目立った民主党との結束の差

 昨年11月の中間選挙の結果、多数派(222議席)となった下院共和党は、新年度の議会が招集された去る3日の初日、議長に名乗り出ていたケブン・マッカーシー議員の承認審議にさっそく着手した。だが、トランプ支持派の超保守議員らが造反したため過半数に達せず、連日投票をやり直し、5日後の去る7日、15回目の投票でようやく同議員を最終選出した。

 一方の民主党は少数派(213議席)となり、同党からの議長選出は不可能となったものの、本会議では形式上、ハキーム・ジェフリーズ議員を独自候補に立て、15回の投票を通じ全員一致で同議員を支持した。

 この間、マッカーシー議員選出をめぐる共和党議員たちの議事堂内でのドタバタ騒ぎの一部始終は、議会専門のケーブルテレビ「C-Span」を通じ、実況中継され、全米の多くの視聴者の前でさらけ出される形となった。

 同時に、終始統率の取れた動きを見せた民主党とのコントラストも浮き彫りにされた。

 それ以来、マスコミ界では、「ダメージを受けた共和党」「点稼ぎした民主党」といった以下のような論評があいついだ。

 「中立系シンクタンク所長が『共和党議員たちが自分たちで火事を起こしているときに、民主党は消火ホースを投じる必要はなく、ただ眺めているだけでよかった』と評したように、マーカーシーは何が何でも議長になろうと、もがき苦しみ、抵抗する強硬派に対し妥協に次ぐ妥協を重ねた。最後にようやく議長ポストを得たものの、連日、共和党にとって具合の悪い見出しがマスコミで踊り、ぶざまな印象を残すと同時に、議長の地位を薄弱なものにしてしまった」(政治メディア「The Hill」)

 「下院議長選出をめぐる混乱は、かろうじて過半数を制した共和党の脆弱性と不安定さを露呈させてしまった。民主党との議席数がわずか9議席の薄氷の状態で下院議長ポストを手に入れることになったものの、本来なら、新議会開会初日の第1回投票ですんなりマッカーシー院内総務を選び、国民の前に共和党の結束ぶりをアピールする絶好の機会となるはずだった。ところが、極右グループの頑迷な造反により、何度も投票をやり直す醜態をさらし、面目を失ってしまった。出だしから激しい党内抗争が演じられるのを見て、民主党議員たちは驚き、面食らい、中には共和党の混乱ぶりをみて苦笑する者もいた。同じ日に開会した民主党多数の上院本会議は形式的な議事を済ませ、すんなり3週間の休会に入った。両党のコントラストが国民の前に鮮やかに描き出された」(New York Times)


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