2024年4月26日(金)

Wedge OPINION

2023年1月28日

 ロシアが議会制連邦共和国として西欧社会の一部になろうとするなら、西側諸国全体で民主ロシアを全面的に支援するだろう。それは西側には過去への強い反省があるからだ。

 ソ連崩壊当時、西側はロシアの民主化を支援する行動を取らなかったのだ。米国内の冷戦思考が災いしたためだ。

 連合国側が第二次大戦後ドイツと日本の民主化には大きな資源を投入したのとは大きな違いだった。これがロシアにプーチン的な独裁を生んだという有力な議論がある。

 この反省もあって、今日の欧米ではロシアが民主化するなら全面的に支援しようとするモメンタムが非常に強くなっている。欧州では欧州の繁栄はロシアの繁栄と表裏一体と云う観念が横溢している。それが大きなダイナミズムを生み出す気配である。当然日本は隣国としてロシアの民主化とその経済的発展に大規模に支援をしていくべきだ。

しかし本当にロシアは民主化するのか?

 勿論ロシアの将来、特に民主化の可能性について、楽観視は禁物だ。プーチン政権の専制が20年も続いた。この国の専制の歴史は長い。ロシアの民主化は簡単ではない。

 何よりも国の地理的な図体が大きく、民族や文化も多様だ。統治するにも余程しっかりした価値体系と指導力が無ければ上手く行かないだろう。中国などと渡り合う時は特にそうだ。 

 この関係では西側諸国間の意見調整とロシアへの協力も大切だ。ロシアが歴史的な方向転換を図るにしても、西側諸国は上手に且つ賢明に協力する必要がある。その為には、西側諸国の政策当局者がよく話し合わなければならない。何が有効なアプローチかを議論していく必要がある。

 しかし今やロシアの民主化は勿論可能だとする議論は非常に数多くある。今回のこの著名な二人のロシア人の論考はロシア社会に広く流れている強い願望、帝政時代から苦難に苦難を重ねてきたロシア人の心の奥底にある強い願望、発言を封ぜられてきたロシア人の心の叫びとでもいうべきものを文字にしたものだ。

 外ならぬ「フォーリン・アフェアーズ誌」はそこを理解してこの記事を世界中に発信した。そう受け止めたい。

 
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 ロシアのウクライナ侵攻は長期戦の様相を呈し始め、ロシア軍による市民の虐殺も明らかになった。日本を含めた世界はロシアとの対峙を覚悟し、経済制裁をいっそう強めつつある。もはや「戦前」には戻れない。安全保障、エネルギー、経済……不可逆の変化と向き合わねばならない。これ以上、戦火を広げないために、世界は、そして日本は何をすべきなのか。
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