2024年5月21日(火)

医療神話の終焉―メンタルクリニックの現場から

2023年2月1日

診断書の効力

 効果は絶大である。筆者の経験では、「いじめ防止対策推進法」に言及した診断書を発行して、学校側が反応しなかったことは一度もない。それどころか、ほとんどのケースできわめて素早い対応がなされる。

 学校はこの法律の存在を熟知している。したがって、医師というプロフェッショナルから同法に則った対応の必要性が明記された診断書をみて、それを無視できるはずがない。

 上記の診断書を発行した際には、患者ないし家族に対し、7日後に再診予約を入れることにしている。学校側の反応を確認するためである。

 一応、万一、診断書第一弾が無視された場合を想定し、第二弾として「〇月〇日、本件が『いじめ防止対策推進法』に規定された『重大事態』に相当する可能性があることに言及した診断書を発行いたしました。しかし、7日経過した現在、事態の改善は認められていません。学校設置者と学校が速やかに事実関係について調査し、必要な措置を講じることなくしては、自殺、殺人、傷害等の致死的事態が起こりえます。可及的早期のご対応をお願い申し上げます」とする文面を用意しているが、使ったことはない。すなわち、診断書第一弾だけで、学校からは打てば響くような反応が返るのである。

 診断書には、記載日、医師名、医療機関名が記されるうえ、上述の通りの法に関連した注意喚起も記されている。そのうえ、複写が医療機関側に保存される。

 診断書付記欄の末尾に、「なお、本診断書は患者・家族の同意を得て作成し、その複写一部を患者・家族にわたしました」と記してもいい。こうして、学校・学校設置者に対して、生徒・家族側が診断書複写を保有し、医療機関も当然保有し、書面による証拠を残しつつ、学校側の対応を注視しているという事実を伝えたい。

 一般に、学校はいじめ問題に対して対応が遅いといわれるが、外部の眼があることを意識すれば、驚くべき迅速さで対処してくれる。もし対処してくれず、悲劇的事態が発生した場合、診断書には法的効果が発生する。

いじめ被害生徒の親にできること

 被害生徒の親としては、身近に信頼できる医師がいれば、診断書を依頼すればいい。しかし、多くの医師は、診断名、通院の必要性等を記した診断書しか書かないであろう。これでは逆効果である。

 学校は「病気だから医者に任せよう」と判断する。学校内に原因がにあって、自分たちがそれに対処する責任を持っているという事実から目をそらそうとする。

 ご家族としては、この記事をプリントアウトして、医師に示して、「この通り書いてほしい」とおっしゃってもいいかもしれない。その際、ご家族には、医師各位に上記免責事項にご留意いただくようお伝えいただきたいと思う。


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