3つ目は、左右対立、世代間対立の中で、例えばM&M'sも、NFLも、そしてアップルも恐らく裏では非常に緻密にデータを取ってやっているであろうということだ。カールソンとの舌戦についても、カールソンの側は主戦場は「FOXニュース」の番組上だと思っていたかもしれないが、M&M'sサイドとしてはSNSの動向を丁寧にリサーチしていたと思われる。
現在、SNSを使ったマーケティングに、高度な統計学を適用し、多くの判断材料を定量化する手法というのが米国では主流になっている。M&M'sとしては、「緑」のキャラクターの変更にしても、あるいは「紫」の追加にしても、その影響についてSNSを通じてデータを取って判断しているに違いない。
一見すると「キャラクターの廃止」などという宣言をしつつ、それを「スーパーボウルで復帰させる」などという作戦は、荒唐無稽な思いつきに見える。だが、これも数字の裏付けがあり、仮に仮説が誤っていた場合には、この1年間ずっと続けていたように、また修正を入れてくるに違いない。
「若返り」というセオリーを見落とすな
そういえば、ここ数年、コロナ禍の中で、食品やアパレルなど巨大な消費者向けのブランドが、ロゴタイプや商品のデザインを相当大胆に変更する例が増えてきている。より若返っていく市場に対応するためには、変革を上乗せして初めて伝統が守れるというセオリーがあり、その上で、緻密なデータ分析が裏付けとして実施されている中での「変化」であると考えられる。
ちなみに、騒動のもととなった「M&M's」の「パープル(紫)」だが、実は全くの新登場ではなく長い歴史の中では、過去にも採用された時期があったそうである。