2024年4月27日(土)

Wedge OPINION

2023年3月16日

②議員を減らして報酬は減らさない=議員の専門職化。

 ①とは反対に、議会の権限をより強固にする方向もある。

 現在は予算の編成権、執行権ともに行政(首長)が持っており、議会は首長が提出した予算案に対して部分的な修正はできても、骨格の部分で口を出すことはできない。これは議会の条例制定権が機能していない大きな原因である。

 議会がより実質的な行政のチェック機能を果たすには、アメリカの州議会、市議会の一部で取り入れられているように、予算編成の段階でその全体像に関わる仕組みにすることも考えられる。そうなると、議員の専門性が求められ事務局スタッフも必要になる(アメリカでは100万人以上の都市は平均150名の地方議会スタッフがいる。日本の場合、市町村で10人、都道府県で50人程度で、主な業務は議会の運営だ)。

 その場合、議員数はどの程度必要だろうか。専門職議員が中心のアメリカのヒューストンは人口200万人で議員数は14人(人口199万人の神戸市は72人)、議員の年間報酬額は約550万円(これでも日本の平均より低い)。これを日本に当てはめれば、議員定数を5分の1程度、現在の6万人を1万2000人にまで削減できる勘定になる。議員報酬はもともと日本は高いのでそのままとすると、総額で約800億円。約3200億円が削減できる。この額を専門スタッフに充てると、年収600万円のスタッフを5万3000人、1議会当り20名程度雇えることになる。

住民が議会について考え 選択することが地方自治だ

 この2案のどちらかにすべきと言っているのではない。そもそも議会制度が全国一律になっているのは日本くらいなもので、多くの国はそれぞれの州や地域によって異なった議会制度をとっている。アメリカの市議会は一院制が主だが二院制を採用している市もあり、議員の任期も1年から6年まで幅広い。元来、100万人の街と5000人の村が同じ制度をとっていること自体に無理がある。「地方自治」なのだから全国に様々なバリエーションがあっても良いはずだ。それを住民自らが考え選ぶところから本来の地方自治が始まると思う。

 国の行政を小さくし地方分権を進めようとすると、必然的に地域住民の意思決定の仕方が重要課題になる。地方議会についてきちんと議論しないといけない。

   
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る