2024年4月24日(水)

World Energy Watch

2023年3月13日

 ロシアのウクライナ侵略以降注目を浴びているのは脱ロシア戦略だが、強権国家中国に依存するリスク軽減も米欧日の大きな課題になっている。EVの部品の多くが中国から供給される。EUはレアアースを含め主要原材料を域内で生産する計画を立てているが、実現は簡単ではない。仮に域内での供給体制が実現しても、中国製EVの競争力は脅威だ。

 いま、中国メーカーは世界のEV市場の6割以上を握り、多くの国に輸出も行っている。22年の世界のEV販売台数(蓄電池稼働車-BEVとプラグインハイブリッド-PHEV合計)は、1052万台。うち中国は618万台を占める世界最大のEV市場だ(図-1)。

 22年の中国メーカーのEV生産台数は670万台、世界シェアの64%を占めた。輸出台数は58万台、内41万台は他国のブランド名で輸出された。

 22年の世界の乗用車販売台数は、21年比0.5%減の8100万台。EVのシェアは初めて10%を超え13%に達した(図-2)。

 BEVの販売台数は21年比59%増。PHEVは46%増だった。中国ではEVシェアは27%になった。

存在感を増す中国EVメーカー

 市場の拡大により中国のEVメーカーは大きく台数を伸ばしている。22年のBEVとPHEVの販売台数では、最近日本でも販売を開始した中国BYDが米テスラを抜き世界一に躍り出た。図-3が22年のメーカー別販売台数を示している。

 中国乗用車協会によると、今年1月の中国のEV主体の新エネルギー車の販売台数は春節が1月になった影響と補助金の終了により前年同月比6%減となったが、全乗用車の販売台数が38%減と落ち込んでいることからすれば、悪くはない。2月の乗用車販売台数は前年同月比10.4%増の142万台だった。昨年2月の販売が春節の影響を受けていることを考えると、伸びは大きくはない。

 ただ、新エネルギー車の販売台数は前年同月比61%増、43万9000台と全乗用車に占める比率が30%を超えた。1位のBYDの販売台数は前年同月比119%増を記録し、19万1664台になった。テスラの販売は7万4402台、前年同月比32%増だった。ほぼすべてが中国上海工場製だ。中国製EVの勢いは止まらない。

 ICE車との比較では製造が簡単なEVでは、競争力があり、大きな世界シェアを持つ中国メーカーが欧州自動車市場のシェアを奪うと、欧州諸国が心配するのも無理はない。加えて、自動車製造国にとっては雇用も大きな問題だ。


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