2024年11月21日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年7月17日

 長く対日政策に携わった日本通の張は、中国の日本関連学術誌『日本学刊』1998年第1期に「中日復交談判回顧」として寄稿した論文に、尖閣をめぐり周と田中との同じやり取りを記していたのだ。そして複数の中国政府筋によると、このやり取りが外交文書として中国政府に保管されているというのだ。

結局「領土問題の有無」に行き着く

 「日本政府は、周・田中両総理の尖閣をめぐる会談の最後の部分を発表せず、隠している」と言い切るのは、中国外務省で日本関係を担当する当局者だ。一方、日本政府関係者は「中国側の外交記録は改ざんされているかもしれない」と反論した。

 中国政府の主張通り、日本の外交文書には「未発表」の部分があり、仮に田中と周が「またにしましょう」と確認し合っていたとしても、それが「棚上げ」で合意したことにならないとの見方は、日本側外交当局者の意見として多い。中国政府高官もこう漏らした。

 「(棚上げ合意は)外交官同士ではないかもしれないが、政治家同士の了解としてはあった」

 中国政府は、首脳・外相会談の条件として日本側に対して過去の「棚上げ」への回帰を求めていることは前述したが、ある日本外交筋は「それ以前として領土問題が存在するのかどうかに行き着く。これを解決しない限り、何も動かない。日本は絶対に受け入れられないし、それが『入り口』となって首脳会談ができないなら、別にやらなくてもいいのではないか」と強調した。 (敬称略)

[特集] 尖閣諸島問題

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