情報感度を高く備える時代
ひとたびリスクに直面した時の対応について、組織論に詳しい専門家は、「レピュテーションリスクの特徴として、従来の対応が必ずしも通用しないことが挙げられる。多くの場合SNSが介在しているため、一般人の感情的な反応が大きく影響し、たとえ正論でも理屈や言い訳がかえって裏目に出るケースがある。したがって一般消費者の目線に立って、迅速かつ誠意を感じさせる対応が必要となる」と指摘する。
さらに「企業が不利益を最小限に抑えるには、情報を小出しにしたり、世論の後追いで対応を変えたりするのではなく、むしろ先手を打つくらい迅速に、抜本的な対策をとることが望ましい。対策を講じるのに時間がかかる場合にも、謝罪したうえで対策を講じる予告をしておくべきだ」とも強調する。
では、企業がレピュテーションリスクを避けるにはどうすればよいのか。まず企業に必要になるのは、当然ながら、自社が提供する製品やサービスの品質や安全性を維持し、顧客との信頼関係を保つことである。従業員の良好な労働環境を確保し、経営層の意識改革も進めることが重要だ。
ビジネスは社会情勢の変化に影響を受け、自社の評判が危機に直面する可能性が常にあることを意識することも不可欠である。法令順守の徹底や、業務内容の定期的な点検など現代の企業に求められることは多く、情報感度を高くして備える時代になっていることを企業人それぞれが自覚すべきである。