メイド・イン・ジャパンは付加価値
日本のプレゼンスは下がったとは言え、「ジャパン」は安心・信頼の証に変化はない。アフターコロナになり、世界中から観光客が再び日本を訪れるようになったが、世界経済フォーラムが今年5月に発表したTravel & Tourism development Index(TTDI)で1位になったことでもわかる。つまり、付加価値をつけて高値で売ることができるベースがすでにあるということだ。
例えば、香港で日本産の果物がわかりやすい。ふどうは、ひと房498香港ドル(約8600円)であるほか、桃やいちごも数千円から1万円位の値段でも問題なく売れる。
輸送コストを加味しても、「メイド・イン・ジャパン」を香港人が評価しているからこそ、この値段で売れる。家電もコスパが悪く、顧客ニーズから離れたから売れなくなっただけで、信頼自体は落ちていない。正しい戦略を打てば付加価値で売れることの裏返しでもある。
プレミア化できれば、計算がしやすい経営ができる
結局のところ、プレミアブランドとなれば、値上げしても、不景気でも、円高になっても、経営環境にあまり振り回されなくなり、経営が安定しやすくなる。人々がルイ・ヴィトンのバッグやiPhoneを買ったり、高級レストランを訪れようとしたりするのはなぜか? 必要であるということや良いものが欲しいということのほかに、自分自身に自信を持たせ、自尊心を満たす部分もある。SNSで承認欲求が話題になるが、プレミアブランドがそれを満たすことができる。
人間の欲求である以上、この要素が占める割合は大きい。人の欲望を刺激するプレミア化した商品を作れば、経営環境が変わろうが経営への大きなダメージは少なく、日本として「計算できる工業国」になれるはずだ。