読書の大切さを伝えたい!
児童数の減少に伴いできた余裕教室を、低学年用図書室としてお父さんたちが手づくりで改造をはじめたのは、1994年11月12日からでした。
きっかけは、1年生の担任の先の山崎先生とのこの年の5月の雑談からでした。
すでに新学期から1つの余裕教室を低学年用図書室として利用しはじめていました。
本来の図書室は3階にあり、2階の1・2年生は自分からはいかないことから、対象となる絵本類をこの部屋へ移動させて開設していました。
とはいっても、図書室とは名ばかりで、既製の本箱と数百冊程度の本、そして床には三畳ほどのカーペットが敷かれているだけで、黄色のカーテンもくすんで見える殺風景な部屋でした。
殺風景ではあっても、先生方の子どもたちに対する「読書の大切さを伝えたい!」との熱気は、この部屋の廊下の壁にしつらえられた3体のオブジェから感じられました。
このオブジェは、山崎先生と美大生のお嬢さんが、絵本『かいじゅうたちのいるところ』(モーリス・センダック作、富山房)からヒントを得て手づくりしたステキなものでした。その一体が、山崎先生に似ているところから、子どもたちは山崎さんの愛称でもある「やまんば」と呼んでは、親しみをこめてはやしたてていました。
そんな先生らの「子どもたちを本好きに育てたい」との想いは、親たちをきっと感動させて動かすに決まっています。
「お父さんたちで、以前に手づくりした飼育小屋のように、ステキな図書室に改造しますよ!」
山崎さんの「もう少しなんとかしたい」という話を聞いた私は、その場で約束をしました。
「よいこと循環」で響きあうお父さんと先生
やることが決まると動くのが早いのも秋津らしさです。
さっそく、先生とおはなし会のお母さんや飼育小屋をつくったお父さんたちと構想をねりました。