2024年12月3日(火)

WEDGE REPORT

2023年6月9日

 ゼレンスキー大統領と岸田文雄首相との首脳会談などに同席するため、一時帰国した松田邦紀駐ウクライナ大使が単独インタビューに応じ、大統領の主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)電撃出席の経緯などについて語った。

(Pool / プール/gettyimages)

 松田大使によると、サミットから1カ月以上前の4月中旬には、ウクライナ側からゼレンスキー大統領の対面出席についての打診があった。これを受けて、大統領出席のセッションを、一連のサミット日程にどう組み入れていくかをめぐって大統領到着当日までぎりぎりの調整が続けられたという。

インタビューに答える松田大使=東京千代田区のホテル

 米軍機の使用、日本の政府専用機派遣も検討されたなど憶測のあった大統領搭乗機については、さまざまな選択肢があったことを認め、ウクライナ側が日本の同意を得てフランス政府の専用機を選択したことを明らかにした。

 日本側からウクライナ側の意向を伝えられたG7各国から一切情報が漏れることはなく、サミット直前まで機密が保たれるという厳重な情報管理体制だった。大統領がG7とはいえ極東まで足を伸ばした理由の一つは、日本国民に直接支援の謝意を伝えたいという大統領の強い意向もあったという。

 ウクライナによる大規模反転攻勢について大使は、開始から3~4日でクライナ側が大きな戦果を挙げるという軍事専門家である米政府元高官の見通しを紹介した。 

 松田大使は、ゼレンスキー大統領の帰国後も東京で外務省への報告などにあたり、先週、キーウに帰任した。

広島とバフムトが重なったゼレンスキーの言葉

 ――広島サミットにゼレンスキー大統領が出席した意義をどう評価しますか

 松田大使 「G7がこれまで以上に結束し、ウクライナへの強い支援、きびしい対露制裁の継続を確認した。招待国との間でも、地域を問わず力による一方的な現状変更は許されないこと、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序が重要であるとのメッセージを出すことができた」

 「侵略に対峙してウクライナ国民の先頭に立っている大統領自身がG7、招待国首脳と一堂に会して議論し、揺るぎない連帯をよりいっそう国際社会に発信することが出来たことは有意義だった」


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