2023年12月8日(金)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2023年6月15日

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中島恵 (なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年山梨県生まれ。新聞記者を経てフリージャーナリスト。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(ともに日本経済新聞出版社)、『爆買い後、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『なぜ中国人は財布を持たないのか』(日本経済新聞出版社)、『中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか』(プレジデント社)『日本の「中国人」社会』(日本経済新聞出版社)、『いま中国人は中国をこう見る』(日経プレミアシリーズ)、『中国人が日本を買う理由』(日経プレミアシリーズ)などがある。

 中国で再び新型コロナの感染者が急増し、6月末には第2波のピークがくるとの予測もある中、中国での生活に見切りをつけ、日本に移住する人がじわじわと増えている。そのことは拙著『中国人が日本を買う理由』(日経プレミアシリーズ)に執筆したが、ここ1~2年、日本に移住した彼らの中には、子どもの進学先として日本のインターナショナルスクール(以下、インター)を選択する人が少なくない。それはなぜなのか。

(Image Source/gettyimages)

日本初の英国の名門系列に中国人も注目

 筆者の友人の友人は昨年、岩手県八幡平市にある日本初の英国式全寮制の『ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン』に子どもを進学させるため、親子ともども来日した。友人を介して話を聞いてみたところ「自然環境が豊かな日本で、英国式の教育を受けられるなんて、なんてすばらしいと思った。一石二鳥だ」と喜んでいた。

『中国人が日本を買う理由』(日経プレミアシリーズ)

 同校は2022年8月に開校したが、このことは日本のみならず、中国に住む、教育熱心な中国人の間でも大きな話題になった。ハロウスクールといえば、1572年に創立した英国の名門パブリックスクールだ。

 安比ジャパンはその日本初の系列校で、本校と同じく英国式カリキュラムを実践する。同校のホームページによれば、これまでタイ、香港、中国などに系列校があり、日本は11番目。中国には北京、上海、重慶、深圳などにすでに開校している。

 同校の学生の半数近くは日本人だが、中国、シンガポール、韓国などの学生も在籍する。前述の中国人によれば、「北京や上海のインターは年間の学費が日本円に換算して500万円以上します。安比ジャパンでかかる年間の費用は800~900万円ほどするので一見高額に見えますが、これは寮費、食費などを含めた金額。中国の富裕層からすると、日本のインターは、質は高いのに、とても格安だと感じる」という。


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