2024年11月21日(木)

Wedge REPORT

2023年7月15日

 「他の絵柄は覚えているのに、悔しい!」「やらかしたー!」「あと一個獲ったら勝ち!」「すごいプレッシャーを感じる…!!」

知育玩具2級講座で紹介される知育玩具(Wedge)

 5月中旬、神奈川県川崎市で日本知育玩具協会によって開催された「知育玩具2級講座」の一コマだ。集まった30代~60代の男女4人が夢中になって遊びに興じるのは、ドイツ発祥の〝知育玩具〟である「果樹園ゲーム」。

ドイツ発祥の「果樹園ゲーム」で遊ぶ、知育玩具2級講座の参加者たち(Wedge)

 YouTubeやテレビゲーム、アニメといったデジタルコンテンツが飽和する社会の中で今、アナログなおもちゃである知育玩具が密かに注目を集めている――。

子育て時間をどう過ごす?
男性育休取得の〝一手先〟

 「キュボロ」という積み木の立体パズルがある。スイス製の知育玩具で、希代の棋士である藤井聡太竜王・名人が幼少期から慣れ親しみ、直観力と空間認知能力を養ったとして2016年頃から世間の耳目を集め、現在も全国的に品薄状態だという。さらに、今年4月から男性の育休取得状況の公表が義務化されるなど、男性の育児参画が進んでいることも知育玩具への注目度が高まる要因の一つのようだ。

 「この知育玩具は、子どものどんな能力を伸ばすことができるのか。どういう与え方をすれば、より熱中してくれるのか。理論とエビデンスに基づきながら知育玩具を選び、息子と遊ぶ時間を通じて、今では能動的に育児に関わっている実感を持てています」

 こう話すのは、神奈川県在住の出口博也さん(34歳)。関東地区では男性として初めて「知育玩具マイスター」の資格を取得し、冒頭の知育玩具2級講座の講師を務めた。同資格は言うなれば〝おもちゃの先生〟になるためのものだ。一般社団法人「日本知育玩具協会」が主催する知育玩具インストラクター認定講座を受講すれば、誰でも取得できる。彼が知育玩具に関心を持ち資格取得を目指したのは、1年前。当時抱えていた子育てに対するある悩みからだったという。

知育玩具マイスターの出口博也さん(Wedge)

 「長期単身赴任で当時3歳の息子と接する時間があまり取れなかった前職を辞め、転職してしばらく経った頃でした。子どもと家で過ごす時間ができたものの、『自分の子育ては正しいのか』『本当に息子の成長につながっているのだろうか』との不安が募り、払拭できずにいました」


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