注目集まる「第三政党候補」
とくに、その後の別の世論調査でも、民主、共和両党の最有力候補とみられるバイデン大統領、トランプ前大統領のいずれにも与せず、「第三政党候補」の出馬を待望する有権者が全体の5割近くにも達したことが、大きな話題となっている。
ニュース番組専門の有料ケーブルTVチャンネル「NewsNation」が去る6月6日、世論調査専門ウェブサイト「DDHQ」と共同で実施した調査結果を公表した。
それによると、来年大統領選での「好みの候補」について有権者1000人を対象に聞き取り調査をしたところ、バイデン、トランプ両氏がそれぞれの党の指名候補となった場合、全体の49%がどちらをも支持せず、「第三政党候補への投票を検討する」と回答した。
さらに「具体的に他に誰を支持するか」を尋ねたところ、21%がバーニー・サンダース上院議員(無所属、バーモント州)、10%が共和党に反旗を翻したリズ・チェイニー前下院議員(ワイオミング州)、7%が民主党異端分子として知られるジョー・マンチン上院議員(ウェストバージニア州)の名を挙げた。また、43%が 「その他の第三政党候補」と回答した。
この結果を踏まえ、政治メディア「The Hill」が、名前の上がった対象者にそれぞれ感想を求めたところ、チェイニー女史は、第三政党からの立候補の可能性を否定せず、とくに「トランプの共和党指名獲得阻止のためなら、あらゆることをする」と語った。
また、マンチン上院議員も、立候補を否定しなかった。サンダース上院議員は「バイデン候補を支持する」と回答したという。
過去にも第三政党候補が台風の目に
無党派層の増加は、とくに民主党のバイデン、共和党のトランプ両陣営にとって重大関心事となりつつある。
過去にも、第三政党候補が民主、共和両党候補による大統領選での最終決着に少なからぬ影響を及ぼしたケースがあるからだ。
例えば、1992年選挙では、保守系政治家のロス・ペロー氏が、再選を目指したジョージ・H.W.ブッシュ共和党大統領、ビル・クリントン民主党候補相手に第三政党候補として戦いを挑み、最終的に本選で、1900万票もの支持票を獲得した。
結果的に、クリントン氏が現職のブッシュ氏を破り、大統領に選出されたが、ブッシュ氏敗退の一因として、ペロー氏が共和党支持票を分断したことが指摘され、話題となった。
2000年選挙には、民主党アル・ゴア副大統領、共和党ジョージ・W・ブッシュ・テキサス州知事のほか、第三政党から環境保護運動の旗手といわれたラルフ・ネーダー氏が出馬した。本選では、ブッシュ、ゴア両候補が最後まで大接戦を演じ、最終的にフロリダ州でブッシュ氏がわずか537票差で勝利した結果、初当選を果たした。
これに対し、ネーダー氏の支持票は全体のわずか3%程度にとどまったものの、その大部分は民主党から流れたといわれる。このため、ネーダー氏はその後、全米の民主党支持者の多くから〝スポイラー〟(略奪者)の烙印を押されたほどだった。
しかし、その後、無党派層はさらに増え続け、支持率でも2大政党を直接脅かすほどの存在になってきたことから、来年選挙では、これまで以上に第三政党候補が台風の目になる可能性がある。