2024年2月25日(日)

バイデンのアメリカ

2023年7月7日

 すでに民主党陣営では、「第三政党候補が、バイデン再選を阻む恐れがある」として、その動向を危惧する声が出始めている。

 とくにホワイトハウス選挙参謀たちが気にかけているとされるのが、「No Labels」と呼ばれる超党派グループの存在だ。

 去る6月11日付けの議会専門電子メディア「The Hill」によると、「No Labels」は、来年選挙は「バイデン、トランプ両候補による再試合」の公算が大きいとして、両党以外から別の〝統一候補〟を立てるべく、着々と準備に入っている。

 この新たな運動当事者の一人、フレッド・アプトン前下院議員(共和、ミシガン州)は、インタビューで「多くの有権者たちが『3億5000万の米国人にとって、もう見飽きた再試合以外にほかのシナリオはないのか?』と自問している。われわれの運動は偏った政治組織ではなく、ユニバーサルなものだ」と解説しているという。

バイデン、トランプ両陣営にも高まる危機感

 ホワイトハウス関係者は、①現情勢では、バイデン、トランプ両候補の支持票はほぼ互角で推移している、②「No Labels」候補が来年11月本選で潜在的バイデン支持票の中から15%程度のアンチ・トランプ票を奪取する可能性がある、③もしそうなった場合、そしてかりに共和党内のトランプ支持票が現状のまま推移した場合、バイデン再選の芽は摘み取られてしまう――といったシナリオが十分ありうると警告している。

 とくに懸念の背景には、2016年大統領選ではトランプ氏が、そして20年選挙ではバイデン氏がそれぞれ、勝敗のカギとなったアリゾナ、ジョージア、ミシガン、ペンシルバニア、ウイスコンシンの5州を接戦で制し当選した経緯があるからだ。

 そして来年選挙で、かりにアリゾナ、ジョージア、ウイスコンシン3州において、本来の民主党支持層からわずか4万4000票程度のアンチ・トランプ票が「No Labels」候補に流れたとした場合、それだけで全米50州選挙人獲得数ではバイデン、トランプ両候補が互角となり、連邦下院での決選投票にもつれ込む可能性もあると試算している。

 他方、トランプ陣営も楽観はできない。

 これまでのところ、共和党内の〝トランプ岩盤支持層〟の割合は、60~70%程度に達しており、残りは中立・穏健派または「ネバー・トランプ」と呼ばれる共和党員や、消極的共和党シンパとみられてきた。

 しかし、今年に入り、トランプ氏の前には、去る4月の不倫もみ消し事件をめぐるニューヨーク州検察局起訴、6月初めの機密文書持ち出し・隠匿疑惑での連邦大陪審起訴のほか、今夏中にも、ジョージア州検察が20年大統領選挙介入・妨害容疑で起訴に踏み切る公算が大きくなるなど、今後の選挙戦でかなり痛手となる材料が立ちはだかっている。

 このため、来年に向けて〝トランプ岩盤支持層〟にも次第に亀裂が生じかねない。

 民主党支持派の中のアンチ・トランプ票の一部が第三政党に回ったとしても、共和党側でも今後、トランプ批判や対トランプ幻滅感が広がることで、第三政党支持者やネバー・トランプ・グループへの転向者が増えることも十分考えられる。

 結論的に言えば、増大しつつある無党派層、そして第三政党の今後の動きは、来年大統領選に向けての両党いずれの戦略にも重大な影響をもたらすことは確実だろう。

   
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