〝第3極〟インドとどう向き合うのか
インドはいま「グローバル・サウス」の盟主の座に座ろうとしている。それはデジタル技術の貸与に特徴的に表れている。システムを各国に無償で提供しているばかりではなく、5年間に限ってシステムに関する困りごとを解決するスタッフも無償である。
フィリピンでも、インドのシステムの導入が始まった。エチオピアなどアフリカ諸国を含めると、11ヵ国に及んでいる。
新興国・発展途上国に対して、借款によるインフラ整備をしてきた中国とはまったく異なる支援策である。中国の貸付を返却できなくなった国々は、そのかわりに港湾施設などのインフラを中国に差し出す「債務の罠」に陥っている。
例えば、エジプトとジプチを結ぶ鉄道は、中国が約40億ドルの資金を貸し付けたが、返却のめどがたっていない。そのため、鉄道は2日に1本しか運行されていない。
インドが明日の世界を動かす〝第3極〟とあるのは間違いないだろう。
シンガポールの元国連大使のキショール・マブバニ氏は次のように予言する。
「欧米が世界を支配してきた19世紀や20世紀とはまったく違う世界になるでしょう。その過程では多くの問題が起きるかもしれません。しかし、いくつもの努力が台頭する多極化を受け入れ、お互いを尊重すればよりよい世界に向かうかもしれません。大きな転換期には常に危険があり衝突の恐れもあります。私たちは思慮深く行動しなければならないのです」
米国、インド、中国そしてグローバル・サウス……。日本はどのように行動すべきか。番組を見るものに深く考えさせる。ぜひご覧になることをお勧めしたいと思う。