サプライチェーンの安全を高めるために、日本は、これまでしてきた通り、戦略的な資源の利害を持つ国々に幅広い投資と援助を行うべきである。これは、重要資源の安定供給を促進し、将来資源需要が低下した場合における二国間関係の保障にもなる。東京は、バングラディシュや中央アジアのような、今まであまり関心を持ってこなかった地域への関心も高めるべきである。日本が、戦略的資源への投資を行う際は、経産省とJOGMECによる先導に加えて、外務省と防衛省が後押しし、十分な関係を追求できるようにすべきである。
そのためには、日本は海保を増強し、できれば、ベンガル湾、インド洋東部の公海における重要シーレーン(SLOC)の防衛にも、任務を拡大すべきである。これは、海自を送るよりも刺激が少ない。アジアの国々は、日本の軍事活動にまだ警戒心を持っており、海自よりも海保と協力する方があり得そうである。海保、および、可能ならば海自は、地域の友邦、同盟国のために、訓練、演習、援助を含む、能力構築に関与すべきである。
米国は、アジアに、外交的、経済的、軍事的に関与し続け、米国の国益を守るだけでなく、日本の海洋における活動の拡大への国際的懸念を払拭しなければならない。ワシントンは、日本と東南アジア各国との間で三国間演習を行い、地域における日本の影響力の増大を促進し、日本と各国との二国間軍事演習を奨励すべきである。しかし、日本と新しいパートナー国がレアアースのサプライチェーンへの安全保障を提供するべきである一方、米海軍の主たる任務はアジア太平洋におけるSLOC防衛であり続けるべきである。
東京とワシントンは、東南アジア、中央アジアにおけるインフラ開発を支援するための共同インフラ投資ファンドの設立を考えても良いかもしれない。このようにして両者のリソースをプールすることで、中国の手に落ちそうな国々において、戦略的利益に沿った方向で、日米は同盟の影響力を拡大することができるかもしれない。
国内的には、ワシントンは、エネルギー輸出の障壁を除去すべきである。アジアへのLNG輸出は、日本だけでなく、韓国、台湾といった米国のパートナー国のエネルギー安全保障も高める。日本のシェールガス革命への参加は、日米同盟のアジェンダの上位に置かれるべきである。