2024年5月17日(金)

WEDGE REPORT

2023年7月31日

 LIGネクスワン関係者は、「韓国海軍はUSVのみならず、UAV(ドローン)やUUV(水中ドローン)を搭載・指揮して海上作戦を遂行する指揮艦を建造する計画を持っています」と語る。計画の詳細は定かではないが、仮に実現すれば、韓国は世界で初めてドローン空母を保有する国になるだろう。

韓国海軍が進めるNavy Sea GHOST計画

 国防部傘下の研究機関である国防科学研究所(ADD)は、対潜偵察用無人潜水艇と題したパネルとともに、UUVの模型を展示していた。このUUVは側面に音波によって物体を探知するソナーを搭載し、自律航行と遠隔操縦を組み合わせて、最大速力8ノット(時速約15キロメートル)で30日間活動できる。

 国防科学研究所関係者は、筆者が日本人であることに気づいたためか、「このUUVは概念モデルに過ぎず、実戦配備されるものではありません」と口を濁した。

UUVのスケルトン模型

 しかし、韓国海軍は、尹錫悦政権の軍事ドクトリン「国防改革4.0」の下で、上述のドローン空母の運用を含む「海洋有・無人複合戦闘体系」(Navy Sea GHOST)を推進している。幽霊を意味するGHOSTは、「有人体系と技術基盤無人体系が調和した海洋の守護者」の頭文字を掛け合わせたものだ。

 Navy Sea GHOSTの概念図によれば、UUVは主に敵潜水艦の捜索から接触(探知・識別)の段階を担い、艦艇、哨戒機またはUAVが攻撃を担当するようだ。

 また、防衛産業大手ハンファのブースに展示されていた複数の魚雷状のUUVのうち、機雷除去用のROVは、同社関係者によれば、「韓国軍でシートライアル(海上公試)中であり、今年中に実戦配備される」とのことなので、海上作戦の中でも対機雷戦(MCM)がドローンの活用で一歩先んじていることが分かる。

マルチドメイン統合作戦。戦闘機にUAVが続く

 だが、海上作戦におけるドローンの出番はこれで終わりではない。MADEX2023では、韓国軍が構想する空中や水上、水中のドローンと従来の航空機や艦艇を組み合わせたマルチドメイン統合作戦のジオラマが展示されていた。そこで、会場に出展されていた多くのUAVの中から、作戦に投入される可能性が大きい2機種を紹介する。


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