もはや海兵隊の出番はない
1機目は、韓国の弾薬大手ポンサンのドローン爆撃機だ。艦艇に搭載される爆撃ドローンは、無誘導爆弾を全天候型の誘導爆弾に進化させる装置、JDAM(統合直接攻撃弾)2発を投下できる。上述のジオラマで戦闘機の後方に配置されていたUAVは、おそらくこの爆撃ドローンだろう。
北朝鮮のハリネズミのような防空網を有人攻撃機が突破し、目標を爆撃するためには大きな被害が避けられないため、爆撃ドローンが開発されるに至ったと考えられる。
2機目は、京畿道のUMAC air社の狙撃ドローンだ。文字どおり、ドローンに韓国製K-2小銃を取り付けた狙撃用のドローンで、すでに韓国陸海軍の特殊部隊に配備されている。同社関係者によれば、「敵地に潜入した特殊部隊や沿岸に接近した艦艇が運用し、敵部隊の指揮官の狙撃や通信施設の破壊に使用される」という。
実際、狙撃ドローンが使用される映像を見たが、低空飛行で数キロメートル飛行し、目標を発見すると標的を的確に射抜いていた。
UUVで潜水艦と機雷の脅威を除去し、爆撃ドローンが橋頭堡確保のため地上部隊を爆撃する。そして、狙撃ドローンがさらに侵攻して、指揮官を暗殺し、通信設備を破壊する。これが、韓国軍が描くドローンの戦いのパッケージだ。
実際のところ、戦闘はドローンだけで完結するものではないが、全土を要塞化した北朝鮮と対峙する、少子化の波を受けた韓国軍にとって、ドローンは欠かすことのできない戦力資産であることは間違いない。
MADEX2023の取材を終え、釜山のホテルで休んでいると、韓国海軍によるNavy Sea GHOSTの展示訓練の様子がテレビに映し出され、若い女性キャスターが「上陸作戦の先頭に海兵隊が立つということは、もう昔の話になりました」と語っていた。この言葉こそが海上作戦の未来像を表していると言えるのではないだろうか。