8月10日には、ビッグモーターと取引する銀行団がいわゆる「バンクミーティング」を開き、この席でビッグモーター側は8月中旬ごろに期限を迎える借入金約90億円の借り換えを要請したと報道されている。銀行側は慎重に検討するとみられるが、今後、さらなる法令違反が明るみに出たり、監督官庁からのさまざまな処分や許認可の取り消しなどがあったりすれば、事業継続の障害になる可能性は大きい。
さらに今後一段と顧客離れが進むようなら、事業への影響は避けられず、経営体力が低下する懸念もある。このため企業経営に詳しい弁護士からは「すでに先を見越して企業再生チームが動いている可能性がある」との指摘も出ている。
ビッグモーターだけの問題ではない
社会的ルールや顧客不在の経営を行ってきたツケは大きく、ビッグモーターは今後、大きな出直しを迫られるだろう。時代錯誤の企業が依然として存在することが今回明らかになったが、信用調査会社は「いまだに昭和のカルチャーを引きずっている会社は多い」と指摘する。
こうした企業の暴走を防ぎ、体質改善を急がせるには何が必要なのか。皮肉だがビッグモーター事件が、令和を生きる企業をアップデートするきっかけになりそうな夏である。