興味深いメキシコやトルコ、ナイジェリアの不在
まず、南米ではアルゼンチンが新たに加わった。実は、総合的国力から見ると、中南米でブラジルに次ぐのは今やメキシコだ。国内総生産(GDP)ではメキシコ14位でアルゼンチンは24位であり、人口でもメキシコ1億3000万人(14位)に対しアルゼンチンは4600万人(32位)だ。双方共に20カ国・地域(G20)のメンバーだが、メキシコが治安問題を抱えながらも経済的にはG20 に入り続ける地力がある一方で、アルゼンチンは経済的不安定性が継続し、G20に留まれるかどうかの瀬戸際にある。中露にとり、メキシコは西側寄りの国だということなのだろう。
中東では、サウジとイランとUAEが新規加盟となった。姿が見えないのはトルコだ。GDPでは第19位で、UAE(30位)、イラン(43位)を上回るし、人口もイラン並みの8000万人台だ。トルコとロシアの短期的関係の影響を深読みすべきではないと思うが、トルコにはあまり面白くない状況だろう。
アフリカでは、エジプトとエチオピアが選ばれた。人口、GDP共にアフリカトップのナイジェリアが入っていない。エチオピアは人口は1億人を超えるが、GDPは62位に過ぎない。ナイジェリアが米国寄りだとは思わないが、中露からは、エチオピアもエジプトと同様な立ち位置に見えているのは、要注意だろう。
そして、不思議なのは、アジア諸国の不在だ。特に、インドネシアの不在だが、これは良いニュースといっても良いだろう。
これがBRICSの実態であり、過度な警戒は禁物だ。今後の拡大の行方はよく見ておく必要があるだろうが、拡大は敵を作り、同質性と効率性を下げるので、必要以上に警戒する必要はないだろう。