表2は18年度からの最低賃金の推移を示しており、23年度が大幅な引き上げとなっていることがわかる。ただし、20年度はコロナ禍により改定額が平均1円だったこともあり、実は数年来で平均すると(1004-874)/5=26円で、20~30円台の改定が続いていることとなる。
縮まる最低賃金の地域格差
今回の最低賃金の改定でもう一つ注目されることは、最高額の地域と最低額の地域の差である。表2には、最低額の地域の金額を最高額の地域の金額で割った比率が示されている。
これまで70%台で推移してきたこの比率が、今回80.2%まで増加している。このことは、これまで最低賃金の低い地域は高い地域の7割の水準に甘んじていたものが、今回の改定によって8割のレベルにまで追いついてきたということだ。ちなみに今回の最低賃金の改定においては、最高額の地域は東京都であり、最低額の地域は岩手県であった。
実際に今回の最低賃金の改定においては、はじめに厚生労働省の中央最低賃金審議会では全国加重平均で1002円と、+41円の引上げとして答申されていた。しかし、その後に各都道府県の地方最低賃金審議会で議論された結果、24の県で当初を上回る答申が出された。このため、結果的には全国加重平均で1004円となり、昨年度と比した引上げ額は+43円で過去最高となっている。
実はこの43円と41円の差の2円の要因のうち、1円分が各都道府県で実際により高い最低賃金が答申されたことであり、もう1円分は全国加重平均に用いる都道府県別の人口が20年の「国勢調査」の結果により変動したという統計的な要因である。
表3に各都道府県の最低賃金について、引き上げ幅が大きい順に金額とその詳細が示されている。
表3を見ると、佐賀県、島根県、山形県、鳥取県といった地方部で引き上げ額が全国平均の43円を上回る答申となっている。当初の答申額である+7円から+8円へ上乗せもなされている。