格差はどのくらい改善されたか
上で、最高地域と最低地域の比率が7割台から8割台に改善されたことを述べたが、表3を見ると、各都道府県別にその水準や改定幅にはバラツキが存在する。そこで、以下では各都道府県の個別データに焦点をあてて、分析をおこなってみる。
初めに22年の最低賃金と23年の最低賃金との相関を見てみよう。図1には横軸に22年の最低賃金、縦軸には23年の最低賃金をプロットしたものである。これを見ると見事なまでに相関しており、最低賃金の順序関係は変わらない(高いところは高く、低い地位は低い水準が続く)ことがわかる。
次に、表3に示された今回の最低賃金の引き上げ額の多寡とこれまでの最低賃金額との関係についてみたのが図2だ。
大まかに言って22年度の最低賃金が低い地域ほど最低賃金の改定差額が大きく、この結果として地域間の最低賃金格差は縮小の方向にあるといえる。そこで、全国の最低賃金の不平等度を知るため、20年度国勢調査の就業者数で重みづけをしたうえで、全国の最低賃金の格差をジニ係数として算出した。ジニ係数は0から1までをとる指標で、より小さい(0に近い)ほど不平等度が小さいことを示す。
表4には2022年度のジニ係数と2023年度のジニ係数の算出結果している。
これを見ると、22年度から23年度にかけてジニ係数は0.0024ではあるが減少し、不平等度が縮小していることがわかる。現来のジニ係数が0.04ときわめて小さいため、日本の最低賃金の金額的な不平等度は地域別には小さいといえる。