2024年12月14日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2023年10月19日

 2023年9月16日付のウォールストリート・ジャーナル紙は「韓国の核保有への関心は消えていない。ただ保留中」と題する同紙北朝鮮担当のダスル・ユン記者の解説記事を掲載している。

(vladm/Prayer Turambi/gettyimages)

 韓国は、最近、米国に対して核保有をしないことを誓ったが、その約束は韓国における議論を一時停止させたに過ぎない。米国は韓国を守ることを保証しているが、韓国は中国、ロシア、北朝鮮という三つの核保有国に囲まれており、韓国国民の多く、政治エリートの多くが引き続き核保有を支持している。

 尹錫悦大統領は、本年1月、韓国は独自に核兵器を開発することもできるし、米国に再配備を要請することもできると発言した。これは米国の政府関係者を慌てさせ、同大統領は1週間後にその発言を撤回した。

 4月、尹大統領は訪米し、バイデン大統領と会談した際、核保有を目指さないことを約束し、その代わりに、北朝鮮を抑止するために米国の核装備のアセットがより頻繁にこの地域に派遣されること、北朝鮮が攻撃を仕掛けてきた際の核兵器の使用の潜在的可能性について従来以上の協議を行うことについての約束を得た。

 世論調査によると、韓国では保守層もリベラル層も過半数が核保有を支持している。ワシントン宣言は一時的な火消しとなったが、韓国国民が北朝鮮の核の威嚇を恐れる限り、政治家は核保有を求め続けると指摘する専門家もいる。

 原子力専門家は、韓国は核兵器に必要な濃縮ウランないしプルトニウムを生産するための技術、施設、財力を有していると見る。しかし、もし韓国が核保有を目指せば、米国は防衛装備品の供与や軍事支援を止めるかもしれない。

 「韓国は核兵器を開発する技術を有している。しかし、核保有は厳しい経済制裁を招き、核戦争のリスクを高める」と専門家は指摘する。

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 韓国が核保有に向かう可能性を軽視すべきではないとの趣旨の解説記事である。可能性は排除されないものの、そのハードルは極めて高い。


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