2023年10月5日付の英フィナンシャル・タイムズ紙で、Elizabeth Brawは、①中露がスパイ活動を活発化させている。②西側諸国の取り締まりの結果、スパイ容疑の逮捕者が増加しているが、中露両国はスパイを取り戻すために、「報復措置」をとる可能性が高い。③中国の「改正反スパイ法」の曖昧な規定に関連し、西側諸国では政府関係者のみならず国民全体の注意が必要であると呼びかけている。
中露の西側に対するスパイ活動は非常に活発になっている。 ここ数カ月間に、英国、ノルウェーおよび米国において数名の諜報員と容疑者が摘発された。その報復として、ロシアと中国はスパイ容疑で西洋人を捕らえている。
西洋諸国で活動している中露の諜報員の人数に関する統計はないが、過去数年間の逮捕者は、スパイ活動の増加を示していると思われる。
ロシアのスパイ容疑で逮捕されたブルガリア人5人の初公判が英国で開かれた。その際、英国当局は、ドイツ人詐欺容疑者が、ロシアのスパイ活動に関与していたと明らかにした。ノルウェーは、ロシア諜報員の疑いがある学者を拘束した。その学者はブラジル人研究者と身分を偽っていた。
英国は中国のためのスパイ容疑で議会調査員と学者を逮捕した。中国系の米海軍水兵2人もスパイ容疑で拘束された。スウェーデンでは、イラン出身の兄弟二人 (うち1人はスウェーデンの軍事諜報機関に勤務)が、ロシアのスパイ容疑で有罪判決を受けた。
しかし、スパイ活動を公にしても、期待ほどの成果は上がらない。なぜなら、中露両国は「交渉の駒」として西洋人を無作為に拘束する対応を取っているからである。
カナダ政府がファーウェイ幹部「孟晩舟」を制裁違反容疑で逮捕後の報復として、中国はカナダ人2人をスパイ容疑で逮捕した。 結局、孟氏の告訴が取り下げられ中国に帰国した後、カナダ人は釈放された。
中露両国は彼らのスパイが逮捕されても、取り戻すことを決意している。 そして、中露は、西側の人なら誰でもスパイ容疑で逮捕する。最近改正された中国の反スパイ法の規定は曖昧で、中国にいる西洋人は逮捕にたいして脆弱である。
結果、より多くの中露のスパイが逮捕されるほど、中露両国内を旅する西洋人に対する脅威はより一層大きくなる。この脅威は、政府関係者だけでなく、観光客や財界人も理解しておく必要がある。