2024年5月16日(木)

Wedge REPORT

2023年11月10日

 戦略を構築してもそれが現場で実施されなくては意味がない。TATはデータベースによる情報の一元管理と各旅行事業者との綿密なコミュニケーションの両方を行っている。

 日本は各地域の主体性に任せているので、情報管理がバラバラになりがちである。確かに、観光客データベースの一元化は国家主導の組織で中央集権的に行っているから可能なことではあるだろうが、日本もこの点では多少中央集権的に行ってもよいのではないかと思われる。

 また、TATはホテルや観光産業関係の主要な事業者のコンタクトはほぼすべて把握しており、コンスタントにコミュニケーションをとっている。その内容は、ブランディングやプロモーション的な内容のみではなく、リスクマネジメントにおける留意点等も含まれる。

各国の強み生かした発展

 タイの観光戦略の見習うべき点を述べてきたが、全てが完璧というわけではない。筆者は今回1日アユタヤ観光ツアーを体験してみた。観光内容自体は素晴らしかったが、ガイドのオペレーションに関してはいくつか改良すべき事項があると感じた。

 こうした点は日本の〝カイゼン〟手法をタイに導入することができそうだ。筆者の所属する早稲田ビジネススクールはダイナミック・ラーニング・コミュニティの構築を重要なミッションの一つとしているのだが、今後は日本と他の国がお互いに学びあうループを構築することで相互の健全な発展を促進するべきであろう。

(取材協力:NIKKEI BUSINESS LAB ASIA LTD.、池上アソシエイツ)

   
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