トラックの荷役時間・効率を劇的に上げる効果があるとされるパレット。パレット利用の促進、一貫輸送において1.1メートル×1.1メートルの大きさでプラスチック製の「T11」と呼ばれる規格への標準化を目指し、官民挙げた議論が行われている。小誌記者は最前線の現場である東京都中央卸売市場大田市場に向かった。
出迎えてくれたのは、東京青果(東京都大田区)商品センター部長の庄内弘志さんと経営戦略室課長の中村岩生さん。そして日本パレットレンタル(JPR)で農産物を担当する菅家隆史さん。「東一」の名で知られる青果卸売最大手の東京青果とレンタルパレット最大手のJPRが協力してパレット循環利用の促進に取り組んでいる。
現在、産地から運ばれる青果物は「雑パレ」と呼ばれる所有者不明の木製パレットを使用したものが大半を占める。その出元は、輸入バナナや電子部品などさまざま。雑パレがあるならレンタルパレットは不要ではと思ってしまうが、「雑パレはトラックの帰り便に積む必要があり、長距離トラックは別の荷物を積んで帰ることが多いため邪魔になります。また、近年は世界各国で環境規制が強化されているため、新規の木製パレットが海外から入ってこなくなっています」と庄内さん。「雑パレ」がなくなり荷物が運べないという状況になる前に、レンタルパレットを利用して、パレットをきちんと循環させるという狙いもある。
しかし、大田市場に向けて出荷する産地は5000カ所を超える。全ての産地に同じフォーマットのパレットで配送してもらうのは並大抵のことではない。産地によっては、独自のパレットを作るところもある。そこには、青果物ならではの理由もある。
ジャガイモのように段ボール箱の中にバラ入れすることができる産物は、T11のような標準パレットに箱の大きさを変更しやすい。一方で、リンゴやトマトのように詰め数の規格が決まっており、箱の大きさを変えにくい商品をパレット積みすると、積み荷の隙間が大きくなり、トラックの積載効率が落ちてしまうという問題もある。実際、リンゴだけで100以上の品種×等階級の組み合わせがあり、規格の見直しが難しい。結果的にこのような青果物は、「ベタ積み」と呼ばれるパレットなしで配送されることになる。
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