支持率低迷にあえぐ岸田文雄内閣がさらに厳しい状況に追い込まれた。11月13日、あらたに財務副大臣が辞任、9月の内閣改造からわずか2カ月で3人目の政務3役交代となった。
永田町での混乱と並んで深刻なのは、地方での凋落だ。東北2県の県議選ではいずれも、現有議席を割り込み、首都圏の首長選でも相次いで敗北した。
追い打ちをかけたのが、江東区長選をめぐる選挙違反疑惑。東京地検の捜査によって事件が拡大すれば、解散など吹き飛び、政権はいっそう窮地に立たされるだろう。
不気味な江東区長選捜査の行方
ドミノ辞任などより、柿沢未途前法務副大臣をめぐる疑惑こそ、懸念すべきだろう。氏の地元事務所が東京地検特捜部の捜索を受けたというのだから穏やかではない。
柿沢氏は、木村弥生江東区長の辞職原因である動画投稿サイトへの違法有料広告問題をめぐり、このアドバイスをしたことの責任を取って辞任したが、同時期に行われた同区議選で陣中見舞いとして現金を供与した疑いが浮上した。ネット広告問題などで特捜部が乗り出すとは考えられず、柿沢氏の現金授受疑惑が捜査の〝本丸〟とみるべきだろう。
今後の当局の動向見守るべきだろうが、区長選に絡む大規模な買収事件に発展すればどうなるか。
税理士の財務副大臣が差し押さえ4回とは
神田憲次財務副大臣の辞任理由である個人会社の地方税滞納、差し押さえについては週刊文春(電子版)が11月8日に報じた。
税の徴収を司る財務省の副大臣、税理士でもありながら、過去のこととはいえ地方税を滞納、4回も差し押さえを受けていたというのだから、悪質というほかはない。
報じられた時点で「更迭不可避」との見方が出たのは当然だったが、政権へのダメージを恐れた首相は13日になってようやく決断、かえって傷口を広げてしまった。
9月13日の内閣改造後、1カ月余りで、山田太郎文部科学政務官が妻以外の女性と関係を持っていた問題で辞任。柿沢氏の辞表提出は10月だった。