同決議は、航行の自由、平和と安定の維持、広く認められた国際法の遵守のため、米軍が、西太平洋の他国の軍と協力して地域における作戦を継続することを支持する、と述べています。また、尖閣諸島の最終的帰属については、米国は特定の立場を取らないが、尖閣諸島は日本の統治下にあり、日本の統治下にある領土に対する攻撃に対しては、日米安保条約に基づき対応する、と明言しています。これは、日本及び、東南アジア諸国にとって心強い決議です。尖閣諸島については、これまでもクリントン、ケリー両国務長官が、日米安保条約が適用されると述べていますが、今回の上院決議は、文書でその考えを明確にしたものです。
メネンデスは、論説で、東シナ海、南シナ海での紛争の管理と解決は、米国の国家安全保障上の変わることのない利害であり、地域の平和と安定の維持のために米国は積極的に関与すべきであると述べ、米国が、アジアへのリバランシングという政策の如何にかかわらず、米国の国策として東アジアにコミットすることを明らかにしています。そして、上院決議を踏まえ、領有権をめぐる紛争で、米国は立場を取らないと述べる一方で、紛争での強要、脅し、力の行使は受け入れられず、公海の自由、自由な通商、国際法の遵守が米国の利益であるとの米国の基本的姿勢を再確認しています。論説も上院決議も、日本など東アジアの米国の同盟国、友好国に対するメッセージであると同時に、中国を牽制するメッセージでもあります。
米国では、これまでも、重要な外交政策に関し、政府より議会が明確な立場を表明するケースがしばしば見られました。米国の東アジア政策に関しても、米政府だけでなく、米議会の動向もフォローしていく必要があります。
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