2024年4月21日(日)

バイデンのアメリカ

2023年12月11日

拡張を進める権威主義

 米CNNテレビは、今回の首脳会談に先立つ同月10日、「習近平は世界を組み替える大がかりなビジョンを有しており、各国が耳を傾けつつある」と題する深堀りのニュース解説を流した。

 解説では、要旨以下のように指摘した:

 「習近平国家主席は去る10月、ロシアのプーチン大統領、国連のグテレス事務総長ら世界の要人たちを北京に迎え開催された『一帯一路フォーラム』で挨拶し、自国を『21世紀が抱える多くの難題を乗り切れる世界唯一の国』と持ち上げた上で、『中国はあらゆる国の近代化のために全力で取り組むとともに、人類共通の未来を建設する』と力説した」

 「彼が抱くこうしたビジョンは、抽象的とはいえ、従来の国際システムがこれまで米国およびその同盟諸国に不当に牛耳られてきたため、これを作り直す必要があるとする中国共産党の新たな理念を簡潔に要約したものだ。近年、欧米で中国の権威主義的勢力拡張ぶりに対する懸念が高まっているのをよそに、北京は今こそ、中国台頭を確実にするために国際システムとグローバル・バランスを転換させ、これを阻止するいかなる試みも拒絶するための時が到来したとみなしているのである」

 「そして特にここ数カ月、中国側はこうした新たな〝中国モデル〟を党、政府機関の文書、国際会議における発言などを通じ積極的にPRするとともに、世界各国からの支持獲得に乗り出し始めており、西側世界では、批判勢力に対する政治的弾圧、言論抑圧、監視強化を特徴とする専制主義的中国ルールが世界モデルになることへの懸念も広がりつつある」

 「ところが、中国側のこうした攻勢とは対照的に、一方の米国は、海外のいくつかの戦争のみならず、国内的にも選挙のたびごとに外交政策の変更を余儀なくされる不安定さ、与野党間の国論分裂を抱えるがゆえに、そのグローバル・リーダーシップに対する不信をますます招いている。とくに直面するウクライナ戦争、イスラエル・パレスチナ紛争などについても、西側は果たして正しい対応をしているのかどうか、疑念を払しょくし切れていないのが実情だ」

 CNNは上記のような解説に加え、習近平指導体制における新たな「世界観」についての補足説明として、去る9月、発表された1万3000語に及ぶ長文の「公式文書」にも言及。その中で①(米国など)いくつかの国々が他国に対して覇権主義的かつ侵略的行動を起こしグローバルな安全と発展の阻害要因を作り出している、②これに対し、中国は習近平指導の下で、経済発展と安定達成のために各国が対等の立場で共通の繁栄をめざすことを最優先課題と位置付けている、③同時に各国は西側諸国が唱導する〝普遍的価値〟に束縛されず、ブロック政治、イデオロギー競争、軍事同盟からも解放されることになる――などと文書が論じていることを紹介している。

 しかし、こうした「習近平の世界観」論議は、今に始まったわけではない。

「新たなマルクス・レーニン主義」

 中国問題のトップ論客として知られ、かつて2度オーストラリア首相として中国首脳とも直接わたりあってきたケブン・ラッド駐米大使は、すでに昨年秋、国際問題誌「Foreign Affairs」に、「習近平にとっての世界(The world according to Xi Jinping)」と題する説得力ある論考(2022年冬季号)を寄稿している。

 この中でラッド氏は、習近平氏が描く「世界観」のまず第一点目の特徴として、「新たな形のマルクス・レーニン主義の発展」を挙げている。


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