2024年11月22日(金)

バイデンのアメリカ

2023年12月11日

 「グローバル文明イニシアチブ」では、中国共産党は①質の高い推進に尽力し、世界の発展と繁栄を促進する、②国際公平・正義の維持に尽力し、世界の平和と安定を促進する、③文明間の交流と相互理解の推進に尽力し、人類文明の進歩を促進する、④政党間の交流と協力の強化に尽力し、手を携えて共に天下の大道を歩む――との4項目の指針が具体的に列挙された(人民日報日本語版)。

 「Economist」誌によれば、これは「米国主導型の戦後世界秩序の改変を企図したものであり、20世紀を代表する『一極支配』から、中国を含めた大国が管理する『多国主義』への転換を意味している」「それゆえ安全保障面では、増大する中国の軍事的脅威封じ込めのいかなる試みにも断固反対するとともに、経済面では、ロシアのような専制主義諸国とは無条件で取引する中国型経済成長モデルの推進をめざしたものだ」という。

世界から見ても「独裁者」

 いずれにしても、西側におけるこうした最近の論評で共通するのは、いずれも着実な経済発展と軍事力増強を背景に最強国米国と対等に渡り合い、対外的にも「中国モデル」を拡大していくという習近平氏の強気の世界観に着目している点だ。

 しかし同時に、その世界観は、国内的には、批判や不満を封じ、対立分子を容赦なく国家権力で排除していくという専制体制の構築を意味していることにも注意を払う必要がある。

 バイデン大統領が先月の米中首脳会談終了直後の記者会見で、習近平氏を改めて「独裁者」と評したのも、こうした独特の世界観を念頭に置いたものに違いない。

 そしてもしそうだとしたら、米中関係の改善は当分、望めないどころか、さらに冷却化に向かう恐れさえもあるといえるだろう。

 この点で、わが国の今後の対米、対中外交も、決して無縁ではない。

 エマニュエル・トッド氏が「Wedge」2021年10月号のWedge Opinion Special Interview「中国が米国を追い抜くことはあるのか エマニュエル・トッド 大いに語る――コロナ、中国、日本の将来」で、今後の中国社会のあり方について語っております。この記事単体をアマゾン楽天ブックスhontoの電子書籍「Wedge Online Premium」でもご購読いただくことができます。
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