ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス中東研究所フェローのレイシネジャドが、Foreign Policy誌ウェブサイトに12月4日付けで「イランがハマスのために戦わない7つの理由。ガザ戦争についてのテヘランの考え方」(The 7 Reasons Iran Won’t Fight for Hamas, A close look at Tehran’s thinking about escalating the war in Gaza.)と題する論説を書いている。その要旨、次の通り。
ガザ戦争が地域戦争に拡大する可能性は低い。イランの強硬派の主張にかかわらず、テヘランがハマスのためにイスラエルと戦争を始めることを避けそうな少なくとも7つの理由がある。
第1:イランは1980年代のイラン・イラク戦争の時のようには戦争に社会を結集できない。米国の制裁による経済危機と昨年の抗議運動の後、青年層と都市の中産階級の不満は高まっている。
第2:イラン政府の穏健派はイランのガザ戦争への直接介入には警告を発している。これは強硬派の見解とは全く異なる。
第3:ハマスの10月7日の攻撃の抑止にイスラエルが失敗したことは、イスラエルに対するテヘランの戦略的計算を変えていない。
第4:ハマスもヒズボラもイランの代理人ではない。彼らはイランの非国家の同盟者と考えるのがより正確である。
第5:イランの戦略的パートナーである中露はハマスへの完全な支持を表明していない。イランは中露との提携を求めており、両国との関係を壊すことに躊躇する。
第6: イランの政策決定者には、アラブの王政の国々はイランとイスラエルの大規模戦争を歓迎するとの信念がある。
第7:西側での主流派の見解とは異なり、ハメネイの地域紛争への対応はリアリストのものであり、イデオロギー的なものではない。
しかし、ガザ戦争はイランの核計画を加速しかねない。イランの強硬派にはハマスの壊滅を防止する最も意味のある道具は核能力を完全に追求するとの決定であるとの強い意見がある。
イランがガザでの戦略的資産であるハマスを放棄することはない。イランは、紛争を全面的な地域戦争にすることなしに、ヒズボラやイラクとシリアにおける代理勢力を通じてイスラエルと米国に圧力を加え続けるだろう。
* * *