札幌のオリパラ招致は東京オリパラの批判の延長線上にあって気の毒な側面もあるが、スノーリゾートを目指しながらアイス系施設整備という「矛盾」を解消するためにも、スノー系のみを札幌とその周辺で開催し、アイス系は本州の大都市の既存の施設で開催するという一手もあったはずだ。そうすれば、施設建設などのコストを圧縮でき、世論の支持ももう少し多く得ることができたかもしれない。
今やまちがスポーツを選ぶ時代
このように、地域とスポーツの関係は変化しつつある。やるスポーツとして、みるスポーツとして、その地域にふさわしいスポーツは何か、どのスポーツであれば地域住民の一体感が高まるのか、地域はより冷静に判断していくことになろう。
Jリーグの秋春制移行は、各地域の住民や自治体は〝おらがまち〟でどのプロスポーツを応援していくのか考える絶好の好機となるのではないだろうか。その際、冬の間は雪の降らない地域で活動しているチームを応援してください、という秋春制移行に伴う寒冷地以外からの意見は寒冷地に住むファンに明るい希望をもたらすものであろうか。
地域をもっとよくしたいという思いをJリーグのチームを使って実現していく。これはJリーグの社会連携、「シャレン！」という活動である。地域社会で大きな存在となりつつあるJリーグの秋春制移行は、選手レベルからチーム運営にとどまらず、さまざまなレベルで地域社会に影響をもたらすであろう。
これは、まさに社会的課題といえる。寒冷地のチームが秋春制移行によって抱える負の課題、特に屋外型スポーツであるサッカーが寒冷地のファンに与える、ポジティブとはいえないさまざまな影響について、Jリーグは放置せず、何らかの解決策を見出すことを強く期待せずにはいられない。
