また英国には、看護処方家という認定看護師(修士課程での教育を課されていない)がいる。看護処方家は、リストに掲載されている薬剤に関しては、独自に処方を行うことができる。このリストには、例えば皮膚保護のための各種軟膏、解熱鎮痛剤、抗真菌剤、緩下剤、浣腸液、鎮痛剤、点鼻・点眼剤、禁煙補助剤などが含まれ、さらに広範囲の薬剤処方へと拡大している(山本あい子他「諸外国における看護師の業務と役割に関する研究(総括研究報告書)」2001年度、厚生労働科学研究成果データベース)。
コロナ禍で見せた課題
医師の周辺業務を他の医療関係者にやってもらうことは、医療への需要を満たし医師不足の解消にもつながるし、医師の働く量を減らす働き方改革にもつながることになるだろう。ただ、問題はこれが日本でできるかだ。
日本では、コロナのパンデミックの時で医療資源が不足しても、医療周辺業務者がワクチン接種などの対応を極めて制限していた。緊急時でもできなかったことを平常時にできるようにすることはなおさら難しい気もする。
乗り越えないといけない壁はいくつもあるだろうが、医師不足に対応するには診療報酬の引き上げではなく、これしかないのではないか。国も医師も今一度考えてもらいたい。