2024年5月17日(金)

都市vs地方 

2024年1月15日

全国の状況

 続いて、全国の各都道府県レベルで耐震対応の状況を見てみることとしよう。ここでも、表3の基準と同様に、1980年以前の耐震工事済と1981年以降建築の住宅の持ち家に占める比率を示している。

 表5を見ると、首都圏および地震の多い宮城県、北海道、東南海地震の懸念される静岡県、愛知県等で耐震対応率が高くなっている。また、今回の能登半島地震で大きな被害に見舞われた新潟県、石川県、富山県で耐震対応率が低くなっていることがわかる。

 さらに、人口密集地域である大阪府、京都府、広島県等で全国平均値よりも耐震対応率が低くなっていることが気になる。さらに、東南海地震で少なからぬ被害が予想されている、高知県、和歌山県等で耐震化対応率が低いことが心配される。

耐震改修にはいくらかかるか

 最後に、耐震改修の費用はどのくらいかかるのかのイメージを確認しておこう。日本建築防災協会の資料によれば、1981年以前の旧基準の木造平屋の耐震工事は100万円から150万円が最も多く、全体の半分以上が140万円以下(2階建ては過半が190万円以下)ですんでいるということである。

 耐震工事の支出については、建物の耐震化促進のために、国または地方自治体の補助金が用意されているケースもあり、補助金を活用すれば個人の住宅でもより安く耐震化することが可能である。また、住宅金融支援機構の融資制度も用意されている。さらに2023年まで耐震改修に伴い、所得税や固定資産税の減免も行われていた。引き続き延長が必要であろう。

 150万円で耐震工事を施し30年住み続けるとして、年間当たりの費用は5万円、1月5000円以下である。上記の防災協会のWEBページでは耐震診断の必要性チェックするリストも公表されている。そろそろ車を買い替えようと考えているあなた、そのお金で我が家の耐震化を考えてみるのもよいのではないか。

 今回の震災の教訓として被害家屋の耐震状況を検証すべきであるし、私たちも今一度、住まいの安全を確認しておくべきである。

   
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る