2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年2月12日

 フィナンシャル・タイムズ紙の1月23日付社説‘Ending the cycles of violence in the Middle east’が、米国の後押しでアラブ諸国がイスラエルの承認と引き換えにパレスチナ国家の樹立を取引するという新たな中東紛争の解決案を用意しているが、この解決案の実現は困難であるが必要だとし、まずイスラエル側がパレスチナ国家の樹立の必要性を理解するべきである、と述べている。要旨は次の通り。  

イスラエルとハマスとの紛争が続く中、ガザ北部で爆発から立ち上る煙(ロイター/アフロ)

 アラブ諸国は、ガザを巡る衝突を終わらせ持続的な平和の基礎を築くプランを考えている。米国が支援するこのプランは、イスラエルに対してサウジアラビアを含めたアラブ、イスラム諸国との関係正常化という報酬を与える代わりにイスラエルは、パレスチナ国家の樹立のための不可逆的なコミットをするというものだが、実現するのは極めて困難だ。

 まず手始めに、イスラエルのハマスに対する攻撃を終わらせ、ハマスは人質を解放しなければならない。しかし、ハマスは戦い続けており、ネタニヤフ・イスラエル首相は、ハマスとの恒久的な停戦を拒否、ハマスの壊滅のみが人質を取り返しイスラエルの安全を保証する、と言い続けている。

 さらに、ネタニヤフは、二国家共存による解決案について話すことすら拒否している。去年の10月7日に起きたハマスによる攻撃を受け、ネタニヤフ以外のイスラエルの主な政治家達もパレスチナ国家樹立を支持することは無いであろう。

 イスラエル側の信頼を回復し、パレスチナとイスラエルの安全を保証するためには、パレスチナ指導部を根本的に立て直さないといけない。また、ハマスの軍事力はかなりのダメージを受けているが、引き続き二国家解決には反対し続けるだろう。


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