ワシントン・ポスト紙は、バイデン政権の中東政策は複雑すぎて上手くいかない、優先順位を決めるべきであり、まずイランの問題に対処するべきであるとする、トランプ政権時の安全保障問題担当の大統領補佐官だったボルトンの評論‘Biden’s biggest problem in the Middle East is of his own making’を2月6日付で掲載している。要旨は次の通り。
中東における現在の困難な状況はバイデンが自ら招いたものである。彼は、余りにも多くの間違った、混乱した、矛盾する戦略目標を追求し、全ての目標について不十分か望まない結果をもたらすだろう。米政府は、目標について願望でなく、優先順位をつけて実現するための明確な戦略を持つ必要がある。
バイデンの戦略目標は多過ぎ、かつ欠点がある。例えば、パレスチナ自治政府にガザを統治させるとのことだが、パレスチナ自治政府は旧態依然で腐敗にまみれていて弱体化し、ますます不人気だ。このような自治政府にガザの統治を任せられるのか。
サウジとイスラエルの国交正常化はイランへの脅威を共有しているがゆえに進んでいた。現在の紛争により交渉は破綻してはいないが、イスラエルに対するイランの「抵抗の枢軸」が強まっている。これは、イスラエルとサウジの脅威認識が正しかったことを意味している。
サウジと他のペルシャ湾岸のアラブ諸国は、今回の衝突がアラブ・イスラエル紛争やパレスチナ・イスラエル紛争ではなく、イランによるイスラエルの戦争であると公に発言するべきである。また、パレスチナ独立国家の樹立が実現しなくても、サウジの一部の隣国がイスラエルを承認する妨げとならなかったし、サウジがイスラエルを承認する妨げともならないだろう。
昨年の10月7日以降、米国とイスラエルは、紛争の拡大に直面している。問題は、その原因がイランだということだ。